倉橋島の魚、ヒラの塩焼きとつけ焼き

岡山県人の基本的な食べ方は焼くか、煮るか

高梁市,魚屋

広島県倉橋島のヒラを目の前にして、岡山県の話をするのはおかしいかも知れぬが……。
昔、岡山県高梁市を縦に横に歩いた。
家並みがきれいで、「どこから行っても遠い町」な、ところだった。
知らない町なのに人恋しくなる、町だ。
富山県の城端とともに、もう一度歩きたい街角・曲がり角のあるところでもある。

逢魔が時に、ボクと同い年のオバチャンに会って、ヒラの話を聞いた。
近くでヒラの骨を切る音が聞こえたので、話しかけやすかった。
「ヒラは焼いた方が好き」だという。
どうやら1970年という食文化の大変動以前の人間にとって、ヒラは刺身などでも食べるけど、基本的に焼くか煮るか、どちらかの魚のようだ。
■写真は岡山県高梁市の魚屋の店頭。

ヒラの塩焼きのうまさには毎度ビックリさせられる

ヒラの塩焼き

こんな大昔のことを思い出したので、今回は焼いてみた。
もっとも基本的な塩焼きとつけ焼きである。

塩焼きはもう数え切れないくらい作っている。
骨切りした切れ込みの中から、焼き始めるとすぐに脂が液化して吹き出してくる。
なんども書いているが、魚の身の脂で、身を揚げているのである。
「うますぎるのは、よく、よーく知っています」と言いたいところだが、改めてうますぎて感動する。
面白いもので食べているのではなく、塩味の脂をなめているような感じがする。
かじりつくとガジっと香ばしいので、そのなめなめ感は消えるけど、要するにうますぎて困っちゃうのだ。
ボクなりの表現だが、酒もご飯もおいてけぼりにしてしまう味だ。

ちょっと一ひねりしてヒラをつけ焼きにしてみた

ヒラのつけ焼き

つけやきは塩焼きのように骨切りをして水分をとるだけで、そのまま焼き上げる。
八分通り焼き上がったら、みりん・醤油を合わせたものを塗りながら焼き上げる。
つけ焼きはいの一番に香りから、だ。
醤油とヒラの脂が一緒に焼けたときの、不思議な香りが脳みそに、直に刺激する。
これをかぐために焼いた気がする。
塩焼きのようなざくざくとした香ばしさはないが、しっとりとうま味豊かな味がする。
大量に頬張ると味が大きい。
思わず、高梁の酒、「白菊」が飲みたくなったが、地元の「澤ノ井大辛口」を室温で。これでいいのだ!

今回の生殖巣の膨らみ加減では、倉橋島のヒラは初夏まで楽しめそうである。
日美丸さんに感謝!


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