倉橋島の魚、ヒラの刺身

この魚を見て種名が浮かぶ人は非常に少ない


広島県呉市倉橋島、『日美丸』、平本勝美さんにいろいろ送って頂いた。
うまいに決まっているセットだけど、本命はさておき、最強クラスの脇役から。
ニシン目ヒラ科のヒラである。
体長49cm・1.384kg はこの魚としては小振りである。
魚類に興味のない人にとっては巨大なニシンのような魚で、北海道でも見つかっているが、あえて言うと瀬戸内海周辺、有明海周辺の魚といいたい。
この魚、広い内湾域がないと産卵できないのではないか、と思っている。
この点からも、自然破壊だけしかやらない、企業や行政や政治家達は、ヒラだけではなく、地球にとっても敵である。

できるだけ薄く切りつけるのはヒラ料理のコツ


ヒラがいかにうまい魚であるかをよく知っているのも、瀬戸内海周辺・有明海周辺の人達である。
ボクのヒラ修業は岡山市中央市場からだけど、ほんまに岡山人はヒラをよく食べる。
たぶん広島県でもよく食べられているはずである。

倉橋島のヒラ刺身は三枚に下ろして腹骨を取り、薄く切り放す。
なぜか?
ヒラの身に数え切れないほどたくさんの骨が食い込んでいるからだ。

ヒラの刺身はどう食べても、非常にうまい


ヒラの刺身をちょっとだけおしゃれに盛り付けてみた。
合わせたのは、わさびにすだちだけど、ヒラは何で食べてもおいしい。
岡山市内ではねぎやみょうがと一緒にポン酢で食べているが、こんな食べ方もいい。

久しぶりに食べるヒラは、真子がまだ小さく、脂が乗っていた。
ニシン目の魚類特有の強いうま味と脂から生まれるこく、しかも後味がいいときちゃー、箸が止まらない。
ただただ、うまいとしか言いようがないとは、表現力の貧困さに嘆くしかない。

やはりニシン目、背の青い魚は、やたらにうまく、ヒラはその南の代表と言った魚である。
心に長々と残る味と言ってもいいだろう。
柑橘類との相性のいい魚なので、広島県の柑橘類でもあるとよかったのやも知れぬが、ボクの故郷徳島のすだちを合わせた。
蛇足だが、近所の居酒屋のオヤジに教わった、宝焼酎と黄金柑のソーダ割りがヒラの刺身にぴったり合った宵であった。
広島に行ったら倉橋島のヒラを食べてくだされ。
日美丸さんに感謝!


関連コンテンツ

サイト内検索

その他コンテンツ

ぼうずコンニャク本

ぼうずコンニャクの日本の高級魚事典
魚通、釣り人、魚を扱うプロの為の初めての「高級魚」の本。
美味しいマイナー魚介図鑑
製作期間5年を超す渾身作!
美味しいマイナー魚図鑑ミニ
[美味しいマイナー魚介図鑑]の文庫版が登場
すし図鑑
バッグに入るハンディサイズ本。320貫掲載。Kindle版も。
すし図鑑ミニ ~プロもビックリ!!~
すし図鑑が文庫本サイズになりました。Kindle版も。
全国47都道府県 うますぎゴーゴー!
ぼうずコンニャク新境地!? グルメエッセイ也。
からだにおいしい魚の便利帳
発行部数20万部突破のベストセラー。
イラスト図解 寿司ネタ1年生
イラストとマンガを交えて展開する見た目にも楽しい一冊。
地域食材大百科〈第5巻〉魚介類、海藻
魚介類、海藻460品目を収録。