戻りガツオ以前? 気仙沼のカツオ
脂ののりなんてどうでもよいな、このうまさ
市場の若い衆が気仙沼産のカツオを二枚に下ろしながら、「今年は遅れているようですよ」って、なにがさ?
「戻ってくるの(南下)が遅れている」のではなく、下ろしているこのカツオの脂の乗りが「戻り」、ほどではないと言いたいらしい。
ある意味、これから「戻りガツオ」らしくなる、とでも言いたいようでもある。
今回のカツオ買いの目的は刺身ではないが、カツオといえば刺身なので、背の方を刺身に引いて、さっそく味見する。
「戻り」が遅れているというとおり、脂の乗りは今イチだが、ボクにはちょうどいい加減だ。
確かに「戻り」特有の分厚い脂の層は見られないものの、切りつけた身は白濁して柔らかい。
ほどよい脂と、うま味に満ちている一切れに、厚めに切ったにんにくをのせて、わけぎをまぶしつけて口に放り込んだだら、言うに言われぬおいしさがぱっと口中に広がる。
琵琶湖からボクにしつこくついてきた風邪小僧を、吹っ飛ばすおいしさだ。
秋になると最低週一ていどはカツオが食いたいものだ、と思わせる味でもある。
「戻り」手前のカツオの刺身で酒ではなく、冷たく冷やした偽ビールをやると、体が軽くなる。