そろそろ名残の、ヤマトカマスの刺身

そろそろヤマトカマスも終いかも知れぬ


10月になって、市場にはアカカマスが毎日のように並んでいる。アカカマスの旬は10月から4月(もちろん前後)にかけてだと思っているので、おいしそうだな、とは思うものの手が伸びない。
ヤマトカマスが去ってからのアカカマスとしよう、なんて思いが脳みそにがんと居座ってしまっているからだ。

今回のヤマトカマスも刺身に切りつけたときの、包丁の重みだけで、わくわくして困った。
刺身だけで、あぶりは不要だなと考えた。焼き目から来る香りが邪魔だろう、と思えたのだ。

脂ののりは今月初旬と変わらない、要するに本種のベストシーズンが続いているのである。
ヤマトカマスに「名残」をつけるのはボクぐらいかも知れぬが、名残惜しみつつ食べたい。
それにしてもこの脂の舌の上での溶け具合、その甘さ、強いうま味。どうにも名状しがたい。

あぶりばっかり造っていたのは遙か昔々


片身のあぶりは万人向きの味でおいしい、とは思うものの、やはりこの時季は、まっすぐど真ん中の味、刺身が上だ。
ちなみに、この身(筋肉)の味を素直に素直に味わいたいと思うのは、年のせいかも知れない。
20年前のボクならあぶり、だろう。

サンプリングなので最小サイズを手に入れる


2024年10月24日の神奈川県小田原市、小田原魚市場、江の安定置、ワタルさんのところ青ガマス(水ガマス ヤマトカマス)がまとまってとれていた。10月初めとあまりサイズは変わらない。
ナイトウさんが競り落としたのを見て、勝手に1尾だけサンプリングしてきた。今回のものは水揚げされたなかでも最小のもので、体長26cm・122g だ。相模湾北部ではときどき体長30cmを超えるサイズが揚がるが、非常に希である。しかも11月には漁獲量は減少していつの間にかいなくなる。
6月に手の平に乗るサイズがとれてから約6ヶ月間だけ、相模湾北部に現れて、11月に去る。いったいどこに去るのやら? ヤマトカマスは謎だらけだ。
10月下旬は「名残の」とつけてもいいかも知れない。
これを三枚に下ろし、刺身とあぶり(焼霜造り)にする。 
ちにみにヤマトカマスの刺身は適切に処理しても、翌日の夜までの命である。
ナイトウさんありがとうさん。


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