12cm SL 前後になる。貝殻は比較的薄く硬い。内面は白い。左殻の弾帯受けは先が丸く大きく、右殻の殻頂下へ突き出す。
オオノガイの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
-
珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
軟体動物門二枚貝綱オオノガイ目オオノガイ亜目オオノガイ超科オオノガイ亜科オオノガイ科オオノガイ属外国名
学名
Mya (Arenomya) arenaria oonogai Makiyama,1935漢字・学名由来
漢字 大野貝 Standard Japanese name / Oonogai
由来・語源 『目八譜』より。干潟などにいる二枚貝の中では突出して大きいので、「大の貝」となった。北海道根室などでは「大貝(おおがい)」だ。
WoRMS では Mya oonogai Makiyama, 1935地方名・市場名
生息域
汽水生。潮間帯の砂泥地に深く潜り込んでいる。
北海道〜九州。朝鮮半島、中国北東岸。生態
ー基本情報
北海道以南の干潟などに普通にみられた大型の二枚貝である。東京湾などでは年々とれなくなっっている。
独特の苦味があり、また地域によってはあまりきれいとはいえない水域にいるので、食用としない地域の方が多い。
東京湾などでは古くから食べられることはわかっていたが、好んで食べる人は希だったようだ。
京都府などでも食用としていたが、現在も漁があり加工を行っているのは北海道根室市だけだと思っている。根室市では6月と7月の大潮のときに漁協員限定で漁ができる。それを漁協員が干ものに加工して組合が買い上げる。
珍しさ度 珍しい貝ではない。干潟などに行き、自分でとるしか手に入れようがない。水産基本情報
市場での評価 まだ見ていない。選び方
原則的に生きているもの。味わい
旬は春。
貝殻はやや薄く硬い。身は熱を通しても柔らかい。
水管の皮膜に苦味があるのでていねいにとって料理する。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
オオノガイの料理法・レシピ・食べ方/揚げる(天ぷら)、生食(刺身、湯引き)、煮る(わた煮つけ)、ソテー(バター焼き)クリックで閉じます
オオノガイの天ぷら 水管と外套膜、小さな足のような部分を天ぷらにする。剥き身にして使ったのは水管と外套膜と貝柱だ。水管や外套膜の皮膜はていねいに取る。
水分をよくきり小麦粉をまぶす。衣をつけて高温で揚げる。
揚げても硬くならず、貝らしい風味が楽しめる。噛めば噛むほど味が染み出してきて飽きが来ない。
オオノガイの湯引き ミルクイや白ミル(ナミガイ)と同様に水管を軽く湯引きしてみた。水洗いして水管を開く。表面の皮膜を取り去る。湯引きして氷水に落とし、ふたたび皮膜を完全にこそげ取る。水切りをする。口に入れると強い甘味がうま味があり、食感もいい。問題は微かに苦味と渋味が残ることで、数切れで止めないと気になる。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
クロクチ 京都府宮津、天橋立の内海である阿蘇海の特産品。オオガイのともあえ 水管や外套膜と内臓(わた)を和えたもの。ワタはゆでてすり鉢でみそとする。このとき砂糖を使う人もいる。水管や外套膜もゆでて適当に切り、みそ味のわたと和えたもの。オオノガイの水管などには独特の苦味やえぐみがあるが、このえぐみの元である皮膜をていねいにとってあるので食べやすい。意外にご飯に合う。[石垣さんに作っていただく 北海道根室市]クリックで閉じます加工品・名産品
釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
おーの貝 山本周五郎(1903-1967)は昭和3夏〜4年の秋まで浦安で暮らす(現千葉県浦安市)。このときのことを題材にしたのが『青べか物語』だ。主人公が貝の活け場で貝をとっていたのを見咎められて、〈……砂の中から大きな灰色の貝を掘り出すと、それを持って私の方へ歩みよって来た。「こいつはおーの貝ってえだ」と男はその貝を私の手に渡して云った、「これならいくら採っても構わねえだよ。そううめえわけにゃーいかねえが、まずくって食えねえってこともねえだよ……〉。参考文献・協力
『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『日本及び周辺地域産軟体動物総目録』(肥後俊一、後藤芳央 エル貝類出版局)、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)