アカメ

Scientific Name / Lates japonicus Katayama & Taki, 1984

アカメの形態写真

120cm SL 前後になる。体高があり側へんする。下顎が上顎よりも突出する。[52cm SL ・2.7kg]
アカメの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
120cm SL 前後になる。体高があり側へんする。下顎が上顎よりも突出する。[52cm SL ・2.7kg]120cm SL 前後になる。体高があり側へんする。下顎が上顎よりも突出する。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★
      がんばって探せば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★
      知っていたら通人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目アカメ科アカメ属

    外国名

    Japanese lates
    言語英語 

    学名

    Lates japonicus Katayama & Taki, 1984

    漢字・学名由来

    漢字 赤眼 Akame
    由来・語源 高知県での呼び名。眼が赤いから。
    〈スズキ目スズキ科アカメ亜科アカメ属アカメ Psammoperca waigiensis〉。当時の学名はアカメモドキ。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)・『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955年1版・1971年校訂版)
    Katayama
    片山正夫(1912~1989年 山口大学教授、山口県生まれ)。広島高等師範学校から農水省水産講習所(後の東京水産大学)。師範学校教師を経て、山口大学へ。特にスズキ科(当時はハタなども含んでいた)を研究。ヒラスズキ、アオダイを記載、和名をつけた。アカハタモドキ、ヤマブキハタなど、多くの和名をつけたものと思われる。
    多紀保彦
    多紀保彦/Taki(1931-2020年)。東京水産大学、魚類学者。主に淡水魚をフィールド調査。

    地方名・市場名

    メアカ[目赤]
    場所大分県佐伯市 参考荷 
    ミノウオ
    場所高知県中村 参考文献 
    アカメ
    場所高知県高知市 参考文献 
    マルカ
    場所沖縄県、宮崎県日向 参考文献 

    生息域

    河口域、汽水域、内湾。純淡水域にはいない。
    静岡県浜名湖〜鹿児島県志布志湾・内之浦湾の太平洋沿岸、大阪湾、香川県、種子島。東京湾などにもいる模様で、生息域は北上している可能性が高い。

    生態

    産卵期は6〜8月。
    10cmの幼魚までは夏〜春の間、アマモ場に生息。
    アマモの葉に沿って逆立ちしてじっとしている。

    基本情報

    静岡県以南、九州までの淡水域・汽水域・内湾に生息している。1.5mを超える大型魚。淡水・汽水域の魚では国内最大種だと思う。漫画などの影響で怪魚とか珍魚とかされているが、それほど珍しいとは思えない。ときどき流通にも乗る。
    ただ国内の汽水域の環境の悪化は深刻だと思う。そのあたりの影響は調べて欲しいものだ。個体数が少なく保護の対象としている地域もある。主にゲームフィッシングのターゲット。定置網などでもあがるが少ない。
    国内には稀な浅場の大形魚なので知名度も高く、人気がある。宮崎県などでは捕獲禁止となっている。
    珍魚度 珍魚とまでは言えない。場所にもよるが流通することもある。がんばって探せば手に入る。

    水産基本情報

    市場での評価/一般に言われているほど珍しい魚ではない。どきどき入荷してくる。やや高値がつく。
    漁法/定置網、刺網
    産地/高知県、大分県

    選び方

    触って張りのあるもので、鰓が赤いもの。

    味わい

    旬は春〜夏。
    鱗は非常に硬く大きい。取りにくい。皮は厚くて丈夫。鱗取りで引くよりも、包丁ですすき引きしたほうがやりやすい。骨は非常に硬い。
    透明感のある白身で血合いが赤い。身割れしやすい。熱を通すとやや硬く締まる。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    アカメの料理法・レシピ・食べ方/蒸す(蒸し魚)、生食(刺身)、煮る(煮つけ)、ソテー(ムニエル)、焼く(塩焼き、祐庵焼き、みそ漬け)、汁(潮汁)

    アカメの蒸魚(清蒸) 鱗をていねいに取り、水洗いする。どうしても鱗が残るので湯をかけて水に取りこそげ落とす。頭部を梨子割りにする。蒸し器に皿を入れて頭部を入れて酒を振る。15分ほどやや強火で蒸す。中国醤油・紹興酒・魚醬を合わせて一煮立ちしたたれをかけ、ねぎなど香りのある野菜をのせて煙が出るくらいに熱した油をかける。

    アカメの刺身 味的にはスズキに近いと思う。ただ黒い筋が3固体下ろした限りでは入っていなかった。また血合いがきれいなので、商品価値は高いと思う。問題は漁獲直後、後の処理だと思う。クセのない味わいでうま味もある。


    アカメのバター焼き 皮付きにするか、皮を引くかは好みの問題だ。ここでは皮目を生かしてみた。切り身に塩コショウ、小麦粉をまぶしてじっくりソテー。バターで風味づけした。皮目は香ばしく、身は硬く締まりすぎない。美味。醤油をたらすとご飯に合う。
    アカメの塩焼(兜焼) 兜を半割にして焼いてみた。振り塩をして1時間以上寝かせる。これをじっくりと焼き上げる。頭部にも可食部は多く、淡泊な味わいの中にほどよいしっとり感がある、皮目に少しだけ独特の風味を感じる。
    アカメの西京焼き(みそ漬け) 切り身にして塩をする。少し寝かせて表面に出て来た水分をふきとる。これをみそ・みりんを合わせた中で一日以上漬け込む。みその種類によっては漬け込む時間を加減する。じっくり焦がさないように焼き上げると非常においしい。
    祐庵焼きアカメの幽庵焼 水洗いして三枚に下ろし切り身にする。塩をふり1時間程度寝かせて表面に出て来た水分を拭き取る。これを酒・醤油・みりんの祐庵地に漬け込む。1日程度漬け込んだらじっくりと焼き上げる。
    アカメのあら煮 野締めで、スズキに煮た身質なので煮つけにしてみた。あらを集めて湯通しして冷水に落として残った鱗やヌメリを流す。水分をよく切り、酒・しょうゆで味つけした。砂糖で甘味をつけてもいい。煮ても硬く締まらず、皮目がとろっとしてとても味わい深い。

    アカメのフライ 水洗いして三枚に下ろして皮を引く。切り身にして塩コショウする。小麦粉をまぶし、衣(水・卵・小麦粉。溶き卵でもいい)をつけ、パン粉をまぶしてやや高めの温度で揚げる。ほどよく繊維質の白身で嫌みのない味わい。
    アカメの潮汁 あらを集めて置く。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよく切り、水(昆布だし)から煮出して酒・塩で味つけする。実に味わい深い汁だ。写真は撮影のために汁を少なくしているが、汁だけでご飯が食べられる。薬味は粒コショウなどお好みで。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    本種を狙う釣りは高知県などで盛んであるが、年に数えるほどの釣果をえるために、ルアーや生き餌を使い通う釣りはかなりストイックでマニアックな釣りである。

    歴史・ことわざ・雑学など

    古くはバラマンディと同種とされていた。

    参考文献・協力

    情報提供/永野昌枝・廣さん(高知県高知市)、『ねこや商店』(宮崎県日南市油津)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)
  • 主食材として「アカメ」を使用したレシピ一覧

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