もみこみ・つかんまぜ
鹿児島県だけではない可能性大
カツオ
鹿児島県屋久島で「もみこみ」、種子島で「つかまぜ」、「つかんまぜ」という料理がある。屋久島内でも他に呼び名があるかもしれないし、種子島で同じ雑貨店のご夫婦でも音が微妙に違っていた。鹿児島県川辺町でも同様の料理を作っている人に会っている。鹿児島県内だけではなくもっと広い地域で同じような料理が作られているとも思うので、同様の料理の呼び名も採取しないとだめだ。
これが漁師さんが作り始めたものだとすると、言語的にも作っている地域もかなり広い可能性がある。
「つき」という大根おろしを粗いケンにする道具と、料理法の広がりも重要だと思う。
このような日常的な料理に名前がない、もしくはあっても消えてしまっていることが多いので、できるだけ早く言語を記録すべきだと思う。
今回は「もみこみ」、「つかんまぜ」という言語を使ったが、土地土地で呼び名が違う可能性が高い。無闇に1つの呼び名を使っては絶対にいけない。特に民俗学や郷土料理を研究している人間は慎重に採取すべきだと思う。
1つの言語が一人歩きすることを言語の癌化と我がサイトでは定義している。同様の料理法がお住まいの周辺にあるなら教えて頂きたい。
種子島のつき
本来は漁師さんが船の上で作っていた料理。
大根と塩だけでできる。
釣れたばかりのカツオ、ソウダガツオ類、サバ類、トビウオ類、などを三枚に下ろす。
大根は独特の「つき」で大根などをあらく棒状に突く。
写真の「つき」は種子島から取り寄せたもの。
これを一緒にして塩で和える。
柑橘類を加えてもいい。
ゴマサバのもみこみ(つかんまぜ)
ゴマサバ もみこみ
新鮮なゴマサバで作る。
大根を粗くおろせる「つき」で下ろす。
ゴマサバは三枚に下ろして腹骨・血合い骨を抜き、細く切る。
今回は大根とゴマサバを一緒にして塩をした。水分が出てくるので軽く搾り、柑橘類(今回はカボス)を振り、再度混ぜる。
屋久島の「もみこみ」も種子島の「つかんまぜ」も、手で揉み込む、掴むように揉み込むという意味。しっかり揉み込むのがコツだろう。