ハマトビウオ
代表的な呼び名トビウオ
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珍魚度・珍しさ | ★★ 少し努力すれば手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★★★★ 知っていたら達人級 |
食べ物としての重要度 | ★★★ 一般的(流通量は普通) |
味の評価度 | ★★★ 美味 |
概要
生息域
海水魚。海の表層域。
希に石狩湾・北海道太平洋沿岸、岩手県〜九州南岸の大平洋沿岸、屋久島、九州西岸、幼魚が奄美大島西方海域。
朝鮮半島西岸。
生態
冬から春に産卵。
基本情報
トビウオ科では最大種だが、ハマトビウオの「ハマ」の意味はわからない。一般的には大きいので「大トビ」、断面が正方形に近いので「角トビ」、春に入荷するので「春トビ」などと呼ばれることの方が遙かに多い。
主に太平洋沿岸に生息。関東以南の太平洋、九州沿岸で水揚げがある。主な産地は東京都諸島部(八丈島)、鹿児島県、宮崎県などだったが、近年関東近海の房総半島などから入荷してきている。市場には厳寒期から春いっぱいくらいまで入荷があり、最盛期は春。
大型なので発泡スチロールに丁寧に並べられ、1尾いくらで売り買いすることが多い。
伊豆諸島の名産品、くさやの原料としても有名である。
基本的な食べ方は古くは塩焼きであったが、近年は生食用に買われることが多い。トビウオの中でももっとも味がよく、用途が広いのも魅力的。関東の市場を歩いていると厳冬期に真っ先に入荷してきて「春遠からじ」という思いがする。
珍魚度 季節限定の魚であること、種の同定が非常に難しいことなので、それなりに入手は努力を要す。
水産基本情報
市場での評価 新春から鹿児島県などから入荷が始まる。鮮魚としてはトビウオ類でもっとも値段が高い。値段はやや高値。
漁法 すくい網、定置網
産地 鹿児島県、東京都
選び方・食べ方・その他
選び方
目が澄んでいるもの。触って硬いもの。
味わい
旬は冬から春
胸鰭、腹鰭が邪魔になるので取り去ってから下ろす。腹鰭は手で抜ける。ともに担鰭骨が大きいのでここは切り取って置く方が皮などを引くときにやりやすい。
鱗は薄く取りやすい。皮は薄く、手でひっぱると取れる。骨は硬くない。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
胸鰭・臀鰭の翼を切り、三枚に下ろす。腹骨をとり、鮮度がいいと血合い骨は取りにくいので切り落とす。皮を引き刺身にする。
脂の口溶け感からくる甘味こそないものの、口に入れると濃厚なうま味が口中に広がる。うま味が長続きして口の中でダレない。
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
釣り情報
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歴史・ことわざなど
盆だて 「八月六日ころまでに、嫁が実家に、そうめんを重箱いっぱいと、とびうおの塩干ものを重箱のふたを逆さにした上にのせて持って行く。実家では半分を受け取り、残りを返す」。(大阪府旧南河内山村 トビウオ種不明)
お盆に食べる お盆には塩干しとびうおの焼いたものと、じゃがいも、焼き麩、湯葉、かんぴょうの煮ものを食べる。(大阪府旧南河内山村 トビウオ種不明)
市場では種を区別 「私ら市場関係者は、取引を簡明にするため、魚体の大小を区別している。成熟魚(大型 かくとび)を角飛、次を中飛(ちゅうとび)、小型は蠅飛(はいとび)」。角飛がハマトビウオだ。『干もの塩もの』(石黒正吉 毎日新聞社)
焼く魚 〈比目魚、鰈、鮎並、鰺、鱈、鯡、鮫、生節等は皆煮つけで、焼くのは蒸し鰈、魴鮄、鰯、飛び魚くらいであたが、煮肴は私は嫌いであった〉『幼少時代』(谷崎潤一郎 岩波文庫 初版は文藝春秋社1957)