聖子を探す旅9 おごる平家の夢のあと

水が澄んでいるし、生き物の気配もない。


田辺聖子からずれてしまうけど、最近、ネガフィルムを整理していて、場所のわからない複数の写真を見つけた。古い護岸が見え、運河のような景色とメモから、兵庫区の中央市場あたりではないか? と思うようになった。
兵庫県神戸中央市場のある埋め立て地の西側一帯が大輪田泊なので、神戸市ではもっとも古い港で、平安時代から築堤が行われていたはずだ。


ポジフィルムには護岸とか、橋の橋梁の写真ばかり。1970年代末にムラサキイガイを調べていて、無知だったのもあり、兵庫県で、たぶん神戸の港に行けば「らしい景色」がいっぱい見られるに違いないというだけの理由で歩いたという記述が残る。
当時、水辺にはカキ(マガキ)とイガイ類(ムラサキイガイなど)がみっしりついていて、独特の臭いがした。
今回、たぶん同じあたりだと思って岸壁を見たらほとんどなにもついていないし、マガキは死貝ではないか、臭いもほとんどしない。
砂地が見えたが生き物の気配がない。
明らかに温暖化のせいだ。兵庫県ではクロダイによる黒のり(スサビノリ)の食害が問題になっているが、温暖化でマガキやムラサキイガイが激減したので、クロダイは仕方なく好きでもない養殖ノリを食べるようになったのだ。
そんな現状がここを見るだけで、わかってくる。

たぶんジャニーズの子供達だと思う


さて、大輪田泊といえば平清盛である。
炎天下、歩いていると築島水門の壁にまったく平家を感じさせない謎の若者達が勢揃いしている。とても平安末期を感じないけど有名なアイドルなのだろうな。
たくさんある桓武平氏の一武士団である伊勢平氏から出た清盛は、武士でもなれる従五位どころか、貴族の最高位、太政大臣にまでのぼりつめる。
平家の力を支えたのは北宋との貿易を独占して、北宋銭を大量に輸入して真の意味での貨幣経済を確立したことによる。
平安時代の幕開けとともに、強大化しつつあった日本各地の武士、特に東国・九州武士団とは貴族化したがために疎遠になる。
当たり前だけど、軍力の中心は東国にあるので、伊勢平氏の平家は東国の武士団を率いた源頼朝に攻め滅ぼされる。
まるで平家が源氏に滅ぼされたようだが、東軍の主力は平氏なのだから、尊卑分脈の世界は複雑である。

にこやかに笑う平清盛


たぶん清盛が見たら激怒しそうな人形の前で、清盛の福原遷都が成功して、伊勢平氏の世が長く続いていたら、どうなったんだろうな? なんて思う。
北条執権時代に国内初の官僚政治を形作り、室町時代には銭(経済)と政治がより深く結びつく。ふたたび東国武士が勢力を増し、戦国時代となり徳川幕府が始まる。
今や平氏の夢は跡形もなくだ。

ものすごく関西的会話をして、暑さ忘れる


中之島から須磨区の板宿町を目指す。
入江橋たもとのバス停にオッチャンがのんびりバスを待っている。
「暑うてかなわんな」というので、「どこへいきますの?」というと「兵庫駅の先の病院や」、「あんたはどこえ行くん」というので「板宿まで」というと、「はよ、地下鉄に行きなはれ」なんて無意味な会話をして別れる。
「おっちゃん長生きしいや」。

平家は番外編


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