コラム

新潟県妙高市の「かんずり」

「かんずり」は関東では比較的手に入れやすいのがいい


初めて買ったのは、新潟県新潟市のどこか、酒とか食料品を売っている食料品店に並んでいたので手に入れた。
かれこれ半世紀近くも前のことだ。
その旅の最中に、新潟県上越市周辺のスーパーならどこにでも置いてあることを知り、何度も新潟県に行っている内に県内どこでも手に入ることを知る。
新潟から都内に帰り着いたら四谷三丁目のスーパーにもあったし、伊勢丹にも紀伊國屋にも、あって、杉並区のもよりスーパーにもあるではないか。

新潟県と東京都など関東の結びつきは昔々から深い。
江戸川区の銭湯のオヤジサン曰く、「風呂屋で新潟県多いよ」(未確認だけど)といいながら本人が新潟市出身だとのこと。
江戸川区など下町には新潟出身者が多くて、「石を投げると新潟県」(未確認だけど)だと言う話も聞いた。
都内どこでも手に入る「かんずり」は新潟と東京の繋がりの深さを証明しているのかも。

余談だが、今や「かんずり」はむしろマイナーな存在で、「柚子こしょう」の方が関東では一般的な気がする。
1970年代、1980年代くらいに、「柚子こしょう」は祐乗坊英昭が編集長だったときの雑誌『太陽』で見ているけど、都内では見ていない。
辛み調味料にも栄枯盛衰がある気がしている。

「かんずり」の瓶は1980年に買ったときのものと同じ。ラベルには「上杉謙信陣中糧秣」とある。上杉謙信との関わりの真相はともかく、秋に収穫した赤いトウガラシを塩漬けにして寒い冬、雪の上にさらしてトウガラシのあくを抜き、粉砕する。これを麹、黄色く熟した柚子、塩で漬け込んで熟成する。漬け込んで3年もかかる。
口に入れてすぐには辛みが来ない。辛みと麹分なのか深みと一緒に辛みがくる。

「柚子こしょう」は青いこしょう(トウガラシ)と青い柚子の皮を粉砕して塩を加えて味を馴染ませて、熟成する。味わいが青くフレッシュである。辛みと酸味がすぐに来て、すぐに鼻に抜ける。

つゆに「かんずり」はもっとも基本的な使い方かも


当時から新潟県好きもあって「かんずり」は常備していた。
それが、昨年来、辛いものを食べるとお腹が痛くなるという状況におちいって、総ての香辛料をやめていた。
カレーすら甘口だったのが、今年になって中辛が徐々に食べられるように。

せっかく新潟に行ったので1瓶だけ買って、久しぶりに味を確かめた。
初めて味わった「かんずり」は、新潟県高田市(現上越市)の安宿で、みそ汁の碗の縁についていた。
非常に印象的で、まずはみそ汁と合わさったときの香りに、その辛みにほれた。

今回はそばつゆに「かんずり」を合わせた。
少しばかり溶いてみたら、やはりいい香りがするし、自家製のソウダ節のつゆにこくが出た。

刺身にもつけるとわさびとはまったく別の味に


近所のスーパーで千葉県産カツオの冊を買い、薬味に使ってみた。
塩気があるので醤油はいらない。
一切れ乗せてそのまま食べると矢鱈にうまい。
今回はカツオに合わせたが、「かんずり」はきっと白身魚にも合うはずだ。

辛いものを食べてもお腹が痛くならない自分にも、「かんずり」にも、乾杯!
ビールがサッポロの黒い星。


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