『銀座界隈ドキドキの日々』のプロトン豆腐とは、なんだ?

あのとき渋谷は本の町であった


渋谷西部B館地下に反応する人が今やほとんどいなくなった。ほとんど通っていた、ごとき場所だった。
ある日、雑誌『話の特集』のコーナーに、和田誠のイラストがいくつも飾られていた。
好きといったら、山口瞳か和田誠か、というボクなので学校の行き帰りに寄り、絵本を一冊買った覚えがある。
そのとき流れていた曲は今でも覚えている。山口百恵の「夢先案内人」(1977年)でボク以上の唐変木な相棒(深刻な活字中毒者)が曲名を知っていたのでビックリしたんだった。
新曲として流れていたので、和田誠展のようなものが行われていたのは、間違いなく1977年だ。
前置きが長くなったけど、そんなボクなので今回の本、和田誠『銀座界隈ドキドキの日々』は単行本で買い、文庫本で買い、それをなくしてまた買い、と3度も買っている。そして今回が4読目だ。

プロトンという言語が新鮮だったのかな


デザイン会社勤めの和田誠のもとに、1960年前後に舞い込んできた仕事の話が出てくる。
〈ぼくのとこには、不思議な仕事がやってきた。「プロトン豆腐」という商品のポスターを作ることだった。豆腐というのは元来四角いが、これはビニール詰めで大形のフランクフルトソーセージのような形状をしているのである。〉

プロトンのことは辞書で調べてもよくわからないけど、「大形のフランクフルトソーセージのような形状をしている」豆腐は大好きだ。
今でも見つけると必ず買っている。
おいしいし、長持ちするしで地方で買うにはこれ以上ない豆腐だからだ。
残念なことにそのときの「プロトン豆腐」はもうないのかも知れぬが、和田誠の記憶が確かなら、この形状の豆腐は最低でも1960年くらいにはあったことになる。
■『銀座界隈ドキドキの日々』(和田誠 文春文庫)


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