煮つけが嫌われて、ブダイも嫌われる
ウマヅラアジ属(Scyris )について
Species Scyris indica Rüppell, 1830/ウマヅラアジ
イセエビ刺し網にかかる魚の中でも人気が高かった時代がある
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さて、魚食普及に重要なのは水産物の知識である。最近、未利用魚、未利用魚と騒がしいが、ちゃんとわかっている人いるんだろうか。厳密な意味での未利用魚は存在しないのに未利用魚という言葉が一人歩きしている。むしろ低価格魚としたほうがいい。
当然国内各地で聞取をする必要があるが、例えば漁業者に聞いてもいいが、加工品業者、買受人(大卸・仲卸)、小売業の話も重要であり、消費者も重要だということを忘れている人がいる。むしろいちばん未利用魚がわからないのは行政、そして漁業者かも知れないという現実も知るべきだ。
また最近、未利用魚にマイナー魚を加えるなど、魚価の変動を知らずにいろいろ語る、間違ったことを言うヤカラまでいる。
魚価を知らなければ、未利用魚はわからない。そのためには、日常的に魚を買っていないとダメだが、そんな人間見た事がない。
ブダイは古くから比較的海辺でよく食べられてきた魚だ。全国流通もするが、むしろ地域地域で食べられているローカルな存在である。産地などでは漁師の自家消費も多い、根強い人気の魚であった。その根強い人気に陰りが見えてきている。
2025年に徳島県のイセエビ漁を見て歩いたが、漁師さんに聞いても年年食べなくなっているし、欲しいという人が少なくなっているという。
ブダイ科の魚は国内では紀伊半島以南が種類的に多く、量的にも多いが、昔から本州、四国、九州で一般的なブダイ科の魚はブダイ1種だけである。
山陰・千葉県以南の水深10m前後の岩礁地帯(磯)に普通で、性転換することでも有名である。
夏には石灰藻や動物性のエサを主に食べ、寒くなると海藻を食べる。
最近、海藻を食害するとして問題になっているが、本来海藻食である上にそんなに増えているわけでもないはず。
もしも本種で海藻が減少しているとしたら、ブダイが原因ではなく環境の変化から海藻自体の抵抗性が弱くなっているのだと思っている。
太古から寒い時季に海藻を食べている魚が、海藻を食害しているなんて非難されたらたまったものではない。
余談になるが、この魚、釣りの世界でも人気が高かった。例えば冬場はハバノリを使っての「ノリブダイ釣り」が盛んに行われていた。それが今や「ノリブダイ釣り」りの本場、伊豆(静岡県伊豆半島)ですら、ブダイ釣りをする人が減っているという。伊豆では伝統的な釣り魚であったが、この伝統的な釣法が最近行われていないのは、エサとするハバノリの減少が原因かも知れない。
どのような料理にしてもおいしいくせのない魚だ
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冬に温かい海域で盛んに行われている、イセエビの刺網漁に混ざってとれる魚のひとつである。刺網の狙いはイセエビだが、それ以上に魚類が混ざることがある。その魚類の中でも多いのがブダイである。イセエビは全国流通に出し、ブダイなど魚は比較的狭い地域で流通する。漁師が自宅で食べる魚でもある。
当然、非常にマイナーな魚で、一般にはほとんど知られていない。とれる量もそれほど多くなく、全国流通することも希で、未利用魚として問題になることはないはずだが、現在問題なのはこの地域性の高い魚が産地ですら食べられなくなっていることである。
煮ても、ソテーしても、揚げても、おいしい魚なのに需要が落ち込んでいるのは不思議でさえある。
煮凝りなど、今どきの人が食べてもびっくりするほどおいしいはず
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代表的な料理が煮つけである。ブダイの煮つけは非常においしく、翌日の煮凝りをあらそうように食べていたという。
本種の需要が減っているのは、明らかにこの伝統的な料理、煮つけ(同じ料理法の延長線上にある鍋)の伝承が途絶えているためだ。
煮つけ自体、歴史のある料理だが、この古くから何気なく作られている料理が一般家庭から遠のいている。それがブダイの利用度を低くしているのである。
かといって新しい料理を模索するほどたくさんはとれない。新しい料理法を模索するよりも、伝統的な料理である煮つけを復活させ、再評価した方がいい。
ブダイの煮つけをおいしく作るコツはやぼったく濃厚な味付けにすることである。

ぼうずコンニャクの日本の高級魚事典
イラスト図解 寿司ネタ1年生



