砥部焼、池本惣一さんの器を並べて
器の中に「朝鮮の風」を感じてしまう
市場魚貝類図鑑は複雑な要素で出来上がっているがとりとめもなく……。
わがサイトが目指すところはぼんやりとしたものだけど、食のぐるりの総まとめだ。
伝統、季節、自然がとても重要だと考えている。
だからできるだけ1970年という破壊年以前を感じるものを集めている。
生物や料理もそうだが、周りのもの、例えば器もそうだ。
駒場東大前の『べにや民芸店』の池本惣一さんの器に興奮してしまった。
それまでも何度も写真では見てきたが、写真ではわからない何か? にびっくりしたのだ。
そこにあるのは「朝鮮の風」のようなもの。
『べにや民藝店』のリョウさんの写真というコマセに誘われて、ボクは小アジちゃんのように欲しいものを欲しいだけ買い求めてきた。
池本惣一さんは愛媛県砥部町の人だけど、四国には多くの朝鮮文化が残っている。これなどは九州と同じである。
器を見ていて、同じ四国生まれのボクの中に「朝鮮の風」が吹いている、と感じた。
歴史考古学の世界からも日本列島には台湾経由でたどりついたヒト、ユーラシア大陸から来たヒト、そして比較的新しく紀元後に朝鮮半島から来たヒトがいる。
原始ではなく日本列島の古代文化史は朝鮮半島からのヒトによって多くが築かれ、そして戦国時代に朝鮮半島の陶工が来たことによって陶磁の世界が急激に進化する。
戦国大名が朝鮮半島の陶工を連れ帰ったのも、自らの朝鮮への憧れと、「朝鮮の風」を感じたためだ。
同じように柳宗悦も明らかに自分の中の「朝鮮の風」を感じた。
これも民藝運動という帆船の風だと思う。
ボクは、からっちゃの息子なので、器に強く惹かれて惑溺してしまう。
今回も新たな器を収納していて食器棚が壊れる。壊れるくらい買うなよ、とは思わない。