十日町市でコイに振られ、城之古青菜を発見

十日町市は雁木の町であったはずだけど

わずかに残っていた雁木

ボクの旅は、昔ながらの食文化を探す旅なので、ある意味特殊である。少数派という以前にひょっとしたらボク一人っきりの旅の形かも知れない。
水産物だと、例えば山間部に行ってフグを食べたり、輸入ものの水産物などは食べたくない。できる限りその地を感じるものを食べたい。我が故郷、徳島でキチジ(キンキ)が出て来たときには思わず涙が出そうになった。そんな不愉快な眼にはもう二度と会いたくない。
新潟県は淡水魚食の盛んなところである。特にコイとフナは非常によく食べていたことが文献ではわかっている。
十日町市で十日町市らしいといえばコイとそばと野菜、保存食ではないかと思う。
ついでに少しくらいは雁木(商店などの前に見られる雪よけのひさし)があるだろうと思って行ったものの、「明るい未来を感じていたときの遺産」、アルミ製のものに取って代わられており、ほんのわずかしか残っていなかった。しかも、コイは店が定休日らしく食べられなかった。

今回もののは薹立ち菜であった


ただ、チンコロが見られて、地野菜である「城之古青菜」が買えたのが、せめてもの救いである。
例えば、どんなにその土地で根づいているからといって、小松菜を旅先で食べることは避けたいと思っている。まあ沖縄に行ってさえ小松菜という現状だけど、たまに地野菜が出てくるとやたらと嬉しくなる。
城之古(たてのこし)地区は十日町市の信濃川近くなので、古くは河川敷そのものだったはずだ。コイをよく食べたということからも信濃川の存在の大きさがわかる。

青菜らしい微かな苦味と渋味がとても魅力的だ


青菜は関西では「真菜」ということが多いと思うが、小松菜という改良に改良を重ねて、なにがなんだかわからなくなった菜・野菜によるがん細胞の攻撃から生き残っている地域性そのものである。
青菜独特の渋味があり、漬物にしてもゆでてもおいしかった。新潟県にも地野菜がたっぷりのこっているようなので、またコイの食文化を探すついでに地野菜探しをしたい。


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