山口県産アカガイ

山口県なら宇部産だろう


アカガイは二枚貝の中でも本ミル(ミルクイ)に次いで高い。関東では宮城県閖上産が有名だが、西日本では大分県産や山口県産が有名である。
豊洲市場を歩いていたら閖上産が多い中、点々と山口県産があった。閖上に負けない値をつけているということは、市場は決して閖上信仰に染まっていないという証拠だ。こんなところに豊洲市場のすごさを感じる。
毎年春になると、閖上産など上物のアカガイを数回味見することにしているが、今回は山口県産から始めることにした。瀬戸内海側の、たぶん宇部で揚がったものだろう。余談になるが宇部市は国内屈指の貝の宝庫なのだ。

部位ごとの重さを量る


今回豊洲市場で買ったアカガイは、1個の重さが150gなのですし種20gジャストがとれる。もっとも使いやすい大きさである。値段は中国産の2倍だから、すし屋でもかなりお高い店だけのものだ。
アカガイの値段は大きいほど高い。200g以上あるととても手が出ないので、上物の味見は150g前後にしている。
ちなみに貝の世界で、江戸前の小松川、浦安、船橋、千葉市周辺でとれるアカガイを、マルアカガイとしていたことがあるようだ。このマルアカガイタイプは今もわずかに手に入るものの、50gから80gくらいしかなく、とてもすし種になりそうもない。古くマルアカガイタイプで200gなどという大型がとれていたらしい。東京湾が元のアカガイの産地にもどることなど到底期待できそうにない。
ちなみに山口県瀬戸内海側のものは宇部魚市場でも買っているし、築地場内でも山口県産として何度も買っている。味や香り、食感において決して閖上にひけを取らない。
今回の目的は細かな部位、足や外套膜、消化器などの重さを計ることだが、舌でもよくよく吟味し尽くす。

春の味がする山口県産アカガイ


3月になったからかも知れぬが、食感に春を感じる。身に厚みがあり、下に触れるだけで甘味がある。ほどよい歯触りで、独特の苦みが甘味に加わった瞬間の口中の状況は名状しがたい。
やはり上物のアカガイは春の味そのものだと思う。


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