2025年10月、新潟県の旅3 胎内市三八市その一

昔は朝市に向かう人で朝市の場所がわかった


8時前に胎内市中条の朝市、熊野若宮神社前に着いた。3のつく日と、8のつく日の開かれるので三八市である。
新潟県は朝市県といってもいいほど朝市だらけである。
これは里(商工業地)と農家・漁業者がはっきり分かれていたためだ。
少しだけ専門的になるが、庶民交易史の世界では、この異業種間の交流こそが中世以来の「交易」の姿なのである。

1980年代、新潟県の朝市は歩くのがたいへんといった混み具合だった。人気のある農家の露店などには人だかりが出来ていた。鍛冶・刃物、和菓子やこんにゃく、寒天(ところてん)つきなど様々な業種がひしめき合っていた。占いなのかなんなのか、怪しいくじに並ぶ人もいた。
新潟県にしかない、というものがいっぱいだったが、今や見る影もない。

野菜と花が中心の朝市はちょっと寂しいね


熊野若宮神社の鳥居をくぐると野菜と花などを売る露店があり、これが思った以上にいいものが売られていた。
加工品や干したゼンマイや蜂蜜などがあるけれど、昔多彩さがない。
露店と露店が離れすぎているし、非常に数が少ない。

余談になるが野菜の産地化は国の基本政策なのだと思うが、はっきりいって反対である。
これからますます温暖化が進み、天変地異が多発するはず。
大産地を作ると被害は増大すると思う。
せめて中産地を増やし、近郊農業を目指すべきだ。
朝市が衰退しているのは時代の潮流かもしれないが、近郊農業の衰退の表れでもある。
あえていえば、無用の長物である住宅地を減らし、近郊農業をこの国の農業の柱にすべきだと思う。

露店の脇に座り込んで、やってくるお客や売り手にいろんな話を聞く。
若い人で74歳、最年長は91歳で、いちばん多いのは80歳代である。
中条町の人はおしゃべり好きなのか、いろんな方と長話をした。
聞きたかったことが聞けたことはありがたかったが、喉が枯れそうになる。
中でもイトヨ関係はこの世代に聞いて初めてわかることだらけだった。

さて、この市でいちばん人気の露店が来るまで、暫し待つ。




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