三重県東紀州尾鷲、カツオの茶じふ
茶漬けもすき焼きも「じふ」というのが面白い

三重県尾鷲市、岩田昭人さんとのつき合いも長い。
お世話にもなり、いろんなことを教えてもらっているので、足を尾鷲に向けて眠ったことはない。
岩田さんは尾鷲の地元民であり、土の人である。普段食べているものは尾鷲市周辺の食そのものだ。
その岩田さんがFBに載せていた、「茶じふ」を作ってみた。
尾鷲など東紀州で「じふ」というと、サバ類やマンボウを使ったすき焼き風の「じふ」もある。
魚の茶漬けも「じふ」、というのが郷土料理ならでは、で面白い。
新鮮なカツオの刺身を熱いご飯に乗せて、茶をかけ、醤油を垂らして食らうというものだ。
ちなみに醤油は茶をかける前にたらしてもいいと思う。
これ東京神田生まれの古今亭志ん生の好物である、「まぐ茶(志ん生のはクロマグロ)」のカツオ判とでもいったもので作り方はほぼ同じ。
料理ではなく食べ方で、非常に日常的なものでもある。
てんでんばらばらに味つけして自由気ままに食べるからうまい茶じふ

簡単ではあるがあなどれない味である。
茶(今回は奈良県十津川村の晩茶)をかけると、カツオの刺身の表面が白く変わるが、間髪を入れずに醤油をたらす。
刺身をくずしながら味見して、場合によっては醤油を追加する。
尾鷲ならではの「虎の尾(辛い青唐辛子)」を薬味にしていたが、今回は長野県中野市など北信で作られている、「ぼたんごしょう(ごつごつ四角い青唐辛子)」とみょうがを刻んで薬味にした。
念のために薬味はなんでもかんでも思いつくままに。
これがなければならない、なんて低級すぎる決め事は無用。
唐辛子の辛味が箸でカツオの刺身を突き崩す度に増す。
この辛味がやたらにいい。
食べながらカツオの身とご飯を混ぜこぜにするのだけど、混ぜこぜするごとにカツオからいいだしがでる。
昼ご飯に「茶じふ」2膳とは、食べすぎだな。