4月になればマアジ時季到来となる
舌の上でとろける刺身には脂だけではなく味もある

マアジに関しては大小にかかわらず、良し悪しがあり、小さいからいいとも、大きいからいいとも限らない。
大分県産は比較的大形が多く、下氷(氷を敷いて魚を並べる)が基本である。
この仕立てを見ただけで産地がわかる、というのも大分らしいところだろう。
ちなみに並アジと今回の上アジで、買ったその日だと味は互角である。
並上の違いは翌日になって初めてわかる。
大分ものは年間を通じて、ていねいな仕立てであるが、さすがに寒い時季のものは脂が少ない。
そして4月も半ばの今、箱に並んでいる活け締めもの総てに脂を感じられる。
料理屋さんと荷をのぞき込んで、仲良く迷ってしまったほどだ。
ふたりして、どれにしようかな? といちばん大型を1尾ずつ袋にしまう。
帰宅して、鱗を引き始めると皮の表面に脂が感じられる。
三枚に下ろすと身が脂で白濁して柔らかい。
この脂で柔らかいのが旬のマアジの特徴である。
刺身を口に放り込むと、すぐ舌の上でとろっと脂の口溶け感がする。
その後、しっかりアジ科らしい豊かなうま味が残る。
脂の多い時季は、うま味も多いのである。
こんなに脂が豊かなのに後口がいいのもマアジならではだ。
くどくど文字を並べても仕方がない。
ここから数ヶ月、大分県産に限らず、日本各地からうまいマアジが届き始める。
今年も時季のマアジは大分県佐伯市産から始まった。