たぶん宮城県産入合シロメバルの塩焼き

メバルが高級魚だった時代が終わりつつある


今回のメバルの標準和名の話は一般の方達とはなんら関係がない。
ボクは水産生物は選択的に食べるのではなく、できるだけたくさんの種類を食べることが、自然に優しいと思っているが、今回のメバル3種を見分ける必要まではないだろう。
3種の味は変わらない、それでも見分け方を知りたかったら最後まで読んでいただきたい。

年年歳歳、メバルがマイナーな存在となっている。
昔、都内の料理店などで、メバルの塩焼きはとても上等なものだった。
それが今では、一目で上等だと思う人はほとんどいなくなっている。
嗜好の変化もあるが、魚の価値観が伝承されなかったからだ。

昔々、なぜ上等だと思われていたのか、小さい魚なので丸々でてきて硬い骨はあるものの、焼いた香りも、身質も、そして身の味も上等だったからだ。
今回のメバル(標準和名シロメバル)などうまいを通り越している。
焼いているそばから、わくわくしてくる。
今回は発見があった。頭部を口に放り込んでもごもごしていると、唐突にどろっと強いうま味が吹き出してくるのだ。
これを脳みその味というとあまりにも曲がないので、隠れわたとする。

実にお手頃な値段であったが、入合で来なければ2倍はしたはず。
なんとか先々、入合で来ても、正箱(同じ種類の魚で3㎏から5㎏揃えて入っている)と同じ値段にならないか、と思っている。

さて、塩焼きでご飯がやたらおいしい、今日この頃だ。
昔はここに揚げ物が欲しいな、なんて思ったものだが、おいしい塩焼きがあれば、みそ汁があるだけで、ありがたや、ありがたや♪ なのだ。

単に見ただけでは種類がわからないけど、メバルとわかるだけでいい


八王子総合卸売センター、福泉に、たぶん宮城県産だろう入合(1箱にいろんな種類の魚が入っている)が来ていた。この入合は増えれば増えるほど自然に優しい。漁獲物が無駄なく消費できる。
ここから数尾選んで買ってきた。
入合はお買い得である。見るだけでもこんなにわくわくして楽しいのに、なぜ安いんだろうという疑問が浮かんでくるほどだ。
以上は前回も書いた。
メバルが入っていて、体長22cm・258gだけど、外見では種が特定できない。

どうしても知りたかったら、塩焼きになっても見わけがつく


古くメバルという標準和名だった魚はアカメバル、クロメバル、シロメバルの3種だったことがわかった。そのどれなんだろう。
別に難しいことをするわけではない、胸鰭の軟条(団扇の骨にあたる)を数えるだけ。
アカ=15、クロ=16、シロ=17で、今回の個体はシロメバルだ。
今回のものはシロメバルであったが、一般の方にはなんの関係もない。

これを塩焼きにする。
水洗いして振り塩をする。
1時間以上寝かせて水分を拭き取り焼き上げる。


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