30cm TL 前後になる。吸盤がある。全体に丸みがあり、第一背鰭は皮下に埋没していて見えない。[雌]
ホテイウオの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★
美味
分類
硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カジカ亜目ダンゴウオ科ホテイウオ属外国名
学名
Aptocyclus ventricosus (Pallas, 1769)漢字・学名由来
漢字 布袋魚
由来・語源 七福神の布袋様(太って、ゆったりした衣をまとっている)に似ているため。
『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)にダンゴウヲ科ホテイウヲ属ホテイウヲ。Pallas
Peter Simon Pallas (ペーター・ジーモン・パラス)。ドイツの動物学者。主に冷水域の魚を記載した。ホッケ類、アイナメ類など国内海域にいる多くの魚類を記載。地方名・市場名 ?
生息域
海水魚。浅場〜水深1700メートル。
北海道全沿岸、青森県〜島根県の日本海沿岸、大和堆、対馬、青森県〜千葉県銚子の太平洋沿岸、希に相模湾。
朝鮮半島から沿海地方を経て間宮海峡、千島海峡北部、カムチャツカ半島全沿岸、ベーリング海、カナダブリティッシュコロンビア州沿岸。生態
■ 産卵期は12月から翌年の4月くらいまで。普段は水深100メートルほどのところにいるのが浅瀬に来て産卵する。
この時期がホテイウオの漁期でもある。産卵した卵はオスが保護する。産卵後はオスメスともに死んでしまう。
■ 産卵孵化したものは浅い岩場にて吸盤などで吸い付き生活、夏には沖合に向かう。3年ほどは海の表層、水深100メートルほどのところを漂っている。3年ほどで成熟。浅場に産卵回遊して一生を終える。
■ 餌は浅場にいる稚魚期はヨコエビなど、沖合ではクラゲ類を食べている。
基本情報
主に北海道、東北から入荷してくる。現在関東では、珍しいものではなくなりつつある。食べ方を知る人も増えてきており、冬を感じさせる魚のひとつだ。
食べ方は単純。ぶつ切りにして汁にするだけ。まだ一般的なとまではいえないものの、一度食べたら好きになるという味だと思う。水産基本情報
市場での評価 冬、産卵期になるとまとまって入荷してくる。雄と雌は別々に入荷してくる。雌はやや高値、雄は安い。
漁法 刺し網
産地 北海道、青森県、岩手県選び方
触って張りのあるもの。柔らかいもの、白っぽくなったものは古い。新しいものは吸盤が吸い付く。味わい
旬は冬。
産卵に浅場にくる冬場が漁期で旬。卵巣は粘液質で旨味があるが、雄の方が筋肉などは美味。
アンコウに似ていて皮と身がブルブルして柔らかく鱗はない。吸盤も骨も柔らかい。
肝は柔らかくクセもなくやや強い旨みがある。白子も美味。胃や腸なども食べられる。
卵巣は煮るとバラバラになるが粘液をまとっているので、沈んでしまわず、ほどよく汁のなかで浮かぶ。
産卵期が漁の盛期で、入荷が増えるので、どうしても汁を作ることになる。
栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ホテイウオの料理法・レシピ・食べ方/汁(韓国風、しょうゆ仕立て、塩仕立て、みそ仕立て)、卵巣(しょうゆ漬け)クリックで閉じます
ごっこの韓国風汁(ホテイウオの韓国風仕立て汁) 汁にしておいしい魚だ。韓国では本種のように骨も身も柔らかい魚は汁にしてご飯のおかずにする。水洗いして適当に切る。肝、胃袋などは捨てないこと。卵巣と身を分けて、身と肝、胃袋を湯通しして冷水に落とし、表面のぬめりなどを流す。水分をよくきり、煮干しだし(ダシダや出しの素でもいい)に総てを入れて少し煮込み、酒・塩で味つけする。唐辛子がとても合う。
ごっこ汁(ホテイウオのしょうゆ仕立て汁) ぶつ切りにしたものの筋肉・皮などを湯引きし、冷水に落として表面の粘液質を取り去ってから昆布だし・酒・しょうゆ味で煮る。卵巣は粘液をまとい、成熟の度合いにもよるがプツプツとほどよい食感が楽しめる。卵粒自体にも甘味がある。筋肉や皮はアンコウを思わせて味わい深い。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
ごっこ汁 北海道南部渡島半島などで食べられている郷土料理。冬から早春に産卵期で浅場にやってくる「ごっこ」をぶつ切りにして豪快に作る。しょう油仕立てで根菜類などが入る。鍋仕立てにもなる。加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
恵山ごっこまつり 毎年2月に函館市恵山で「ごっこ汁」を振る舞う祭。ごっこの干ものなども販売している。参考文献・協力
『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『新北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社)