20cm SL 前後になる。全体に小さな毛に覆われた厚い殻皮に覆われている。貝殻は陶器質で微かに赤みを帯びる。肩の棘は強い個体と強くない個体がある。上部から見ると丸く、側面から見ると体層と水管が長い。
テングニシの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
-
珍魚度・珍しさ
★★
少し努力すれば手に入る魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★
美味
分類
軟体動物門腹足綱前鰓亜綱新腹足目アクキガイ超科テングニシ科(カンムリボラ)Brunneifusus属外国名
学名
Brunneifusus ternatanus (Gmelin, 1791)漢字・学名由来
漢字 天狗辛螺 Standard Japanese name / Tengunisi
由来・語源 『目八譜』より。
形が天狗の鼻に似ているから。
卵嚢(卵をつつむ殻)が天狗(てんぐ)の団扇(うちわ)に見えるからではないか? 玩具としてのテングニシの卵嚢(卵を包む殻)は「軍配酸漿(ぐんばいほうずき)」という。
Buccinum tuba Gmelin, 1791→Brunneifusus ternatanus (Gmelin, 1791)目八譜
1843(天保14)、武蔵石寿(武蔵孫左衛門)が編んだ貝の図譜のひとつ。図は服部雪斎が描く。武蔵石寿は貝類を形態的に類別。1064種を掲載する。現在使われている標準和名の多くが本書からのもの。貝類学的に非常に重要。地方名・市場名
生息域
海水生。水深10〜50mの砂地。
千葉県房総半島以南。熱帯インド・太平洋。生態
ー基本情報
比較的暖かい海域にいる非常に大型の貝だ。日本各地で食用となっている。
ただ、西日本などでは貝殻のままでも、ゆでたものも売られていて、比較的日常的な食用貝だが、東日本ではまず見かけることがない。
産地では味のよい巻き貝として人気があり、特に有明海周辺などでは好んで食べられている。
珍しさ度 関東など東日本や北日本で手に入れるのは非常に難しい。西日本では普通なので取り寄せるか、旅先で探すといい。水産基本情報
市場での評価/関東では入荷量が少なく一定の評価はない。やや高値。
漁法/刺網
産地/熊本県など日本各地選び方
軟体などを触ってよく反応するもの。体液など垂れていないもの。臭くないもの。味わい
旬は春だが、西日本では年間を通して食べられている。
貝殻が非常に硬い。貝殻は硬いので全体を割るのではなく、金槌などで体層の一部を割り、そこから強固な筋を断ち切る。それからホークなどで軟体を引き出すといい。
滑りを取ると硬く、こりこりする。身色はきれいでクセやイヤな風味はない。熱を通すと硬くなる。栄養
ー危険性など
唾液腺にテトラミンがあるので蓋のついた部分を縦に割り、除去してから食す。食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
うみほうずき 大形の貝で一般には縁日などで売られていた「海ほおずき(テングニシのものは特に「ぐんばいほおずき」とも)」の貝として知られる。「海ほおずき」は本種の卵で丈夫な殻に包まれた卵を干したもの。これを水でもどして植物のホオズキの身をならすように、口にふくんで音をだす。
■ カゴに入れ、なかで産卵させて卵囊(らんのう)を採取。染色して販売する。『標準原色図鑑全集 貝』参考文献・協力
協力/ねこや商店(宮崎県日南市油津)
『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『標準原色図鑑全集 貝』(波部忠重、小菅貞男 保育社)、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)地方名・市場名 ?
ヨナキ
場所千葉県木更津市貝淵・富津市竹岡港、神奈川県江の島、和歌山県有田市、兵庫県、岡山県、鳥取県境港市湊町、愛媛県今治、長崎県対馬市上県町、香川県丸亀市・坂出市 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)