テングニシ

テングニシの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
20cm SL 前後になる。全体に小さな毛に覆われた厚い殻皮に覆われている。貝殻は陶器質で微かに赤みを帯びる。肩の棘は強い個体と強くない個体がある。上部から見ると丸く、側面から見ると体層と水管が長い。
20cm SL 前後になる。全体に小さな毛に覆われた厚い殻皮に覆われている。貝殻は陶器質で微かに赤みを帯びる。肩の棘は強い個体と強くない個体がある。上部から見ると丸く、側面から見ると体層と水管が長い。[長崎産 肩の棘が強い]
20cm SL 前後になる。全体に小さな毛に覆われた厚い殻皮に覆われている。貝殻は陶器質で微かに赤みを帯びる。肩の棘は強い個体と強くない個体がある。上部から見ると丸く、側面から見ると体層と水管が長い。[宮崎産 肩の棘はあまり強くない]
20cm SL 前後になる。全体に小さな毛に覆われた厚い殻皮に覆われている。貝殻は陶器質で微かに赤みを帯びる。肩の棘は強い個体と強くない個体がある。上部から見ると丸く、側面から見ると体層と水管が長い。[山口県産 肩の棘が弱く細長い]
20cm SL 前後になる。全体に小さな毛に覆われた厚い殻皮に覆われている。貝殻は陶器質で微かに赤みを帯びる。肩の棘は強い個体と強くない個体がある。上部から見ると丸く、側面から見ると体層と水管が長い。[宮崎産 肩の棘はあまり強くない]
20cm SL 前後になる。全体に小さな毛に覆われた厚い殻皮に覆われている。貝殻は陶器質で微かに赤みを帯びる。肩の棘は強い個体と強くない個体がある。上部から見ると丸く、側面から見ると体層と水管が長い。[山口県宇部産 肩の棘はあまり強くない]

全関連コラム

珍魚度・珍しさ★★
少し努力すれば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★
美味
分類
軟体動物門腹足綱前鰓亜綱新腹足目アクキガイ超科テングニシ科(カンムリボラ)Brunneifusus属
外国名
False fusus
学名
Brunneifusus ternatanus (Gmelin, 1791)
漢字・学名由来

漢字 天狗辛螺 Standard Japanese name / Tengunisi
由来・語源 『目八譜』より。
形が天狗の鼻に似ているから。
卵嚢(卵をつつむ殻)が天狗(てんぐ)の団扇(うちわ)に見えるからではないか? 玩具としてのテングニシの卵嚢(卵を包む殻)は「軍配酸漿(ぐんばいほうずき)」という。
Buccinum tuba Gmelin, 1791→Brunneifusus ternatanus (Gmelin, 1791)

目八譜
1843(天保14)、武蔵石寿(武蔵孫左衛門)が編んだ貝の図譜のひとつ。図は服部雪斎が描く。武蔵石寿は貝類を形態的に類別。1064種を掲載する。現在使われている標準和名の多くが本書からのもの。貝類学的に非常に重要。
地方名・市場名

概要

生息域

海水生。水深10〜50mの砂地。
千葉県房総半島以南。熱帯インド・太平洋。

生態

基本情報

比較的暖かい海域にいる非常に大型の貝だ。日本各地で食用となっている。
ただ、西日本などでは貝殻のままでも、ゆでたものも売られていて、比較的日常的な食用貝だが、東日本ではまず見かけることがない。
産地では味のよい巻き貝として人気があり、特に有明海周辺などでは好んで食べられている。
珍しさ度 関東など東日本や北日本で手に入れるのは非常に難しい。西日本では普通なので取り寄せるか、旅先で探すといい。

水産基本情報

市場での評価/関東では入荷量が少なく一定の評価はない。やや高値。
漁法/刺網
産地/熊本県など日本各地

選び方・食べ方・その他

選び方

軟体などを触ってよく反応するもの。体液など垂れていないもの。臭くないもの。

味わい

旬は春だが、西日本では年間を通して食べられている。
貝殻が非常に硬い。貝殻は硬いので全体を割るのではなく、金槌などで体層の一部を割り、そこから強固な筋を断ち切る。それからホークなどで軟体を引き出すといい。
滑りを取ると硬く、こりこりする。身色はきれいでクセやイヤな風味はない。熱を通すと硬くなる。

栄養

危険性など

唾液腺にテトラミンがあるので蓋のついた部分を縦に割り、除去してから食す。

食べ方・料理法・作り方

テングニシの料理・レシピ・食べ方/煮る(塩ゆで)、生食(刺身)
テングニシの塩ゆで 瀬戸内海や九州でのもっとも基本的な食べ方は塩ゆでである。
流水などで汚れを洗い。水分をよくきり、10分前後塩ゆでにする。そのままゆで汁で冷まして、身を取り出し、消化器と唾液腺を除いて食べやすい大きさに切る。
足は嫌みのない上品な味わいなので、酢みそや酢コチュジャンで食べるとおいしい。

テングニシの刺身 貝殻は硬いので貝殻の一部に穴を開けて軟体を取り出すといい。蓋を取り、足を割って唾液腺を除去する。消化器を取り去り、ワタは塩ゆでにする。足はていねいにぬめりをもみ出し、仕上げに塩をまぶして揉みヌメリを取る。仕上げに水洗いして刺身状に切る。くせのない味わいで食感が心地よい。

好んで食べる地域・名物料理

塩ゆで 小売店でゆでて販売。主に中国地方、九州で売られている。

こう貝の塩ゆで 有明海産「こうかい」を塩ゆでして刻んだもの。酢みそが添えられている。福岡県大川市・大木町などのスーパー、直売所には同じようなパックが並んでいる。

加工品・名産品


こう貝の塩ゆで 有明海周辺では県に関係なく、どこでも本種をゆでたものが売られている。比較的安くておいしいと人気があるようだ。内臓は決してまずいわけではないが、食べる部分は足(筋肉)である。[写真は福岡県大川市]

釣り情報

歴史・ことわざなど

うみほうずき 大形の貝で一般には縁日などで売られていた「海ほおずき(テングニシのものは特に「ぐんばいほおずき」とも)」の貝として知られる。「海ほおずき」は本種の卵で丈夫な殻に包まれた卵を干したもの。これを水でもどして植物のホオズキの身をならすように、口にふくんで音をだす。
■ カゴに入れ、なかで産卵させて卵囊(らんのう)を採取。染色して販売する。『標準原色図鑑全集 貝』

地方名・市場名

ホラガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所三重県尾鷲市・紀伊長島町、和歌山県御坊市、山口県角島 
ドンビ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所三重県志摩市阿児町 
ナガニシ[長螺]
参考出間リカさん、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所三重県鳥羽市安楽島、香川県三豊郡詫間町粟島尾 
タツロウガイ[達朗貝]
備考達朗という人が好きだったため。 参考大西幸子さん 場所京都府伊根町 
ニシキガイ
参考本藤靖さん 場所京都府宮津 
ニシンキャー
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所佐賀 
コーキャー
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所佐賀県鎮西町・唐津湊 
サンゼームゴロシ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所千葉県富津市大堀 
ヨナキ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所千葉県木更津市貝淵・富津市竹岡港、神奈川県江の島、和歌山県有田市、兵庫県、岡山県、鳥取県境港市湊町、愛媛県今治、長崎県対馬市上県町、香川県丸亀市・坂出市 
ヨナイチ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所千葉県館山市 
フズキボッポン ホウズキボッポ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所大分県蒲江町 
ズボラガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所大阪府泉佐野市 
コシダカ シロミナ
参考ねこや商店 場所宮崎県日南市 

参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所宮崎県青島 
アカニシ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所富山県 
ホンニシ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所山口県三見村 
クロズ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所山口県厚狭郡、香川県多度津町柳長崎浦 
ナガビラ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所山口県周南市小畑 
ホウズキバイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所山口県大島 
ケニシ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所山口県柳井・東部 
ホウズキニシ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所山口県豊浦、香川県小豆島福田・詫間町高谷 
ニシ[螺]
参考青山時彦さん(宇部市青山鮮魚) 場所島根県浜田市、山口県宇部市 
カスビ
参考日美丸さん、勢登さん 場所広島県呉市倉橋島、山口県東部瀬戸内海側 
オオバイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所徳島県鳴門市 
ヨダレガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所愛媛県松山市 
エゴガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所新潟県出雲崎 
ニシガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所新潟県出雲崎・新潟市、福井県、香川県東かがわ市大内町 
イガラゲ
参考前田D(BS朝日「魚が食べたい」) 場所新潟県村上市岩船 
コカイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所熊本県牛深 
ハマコウカイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所熊本県苓北町富岡 
ケーッポ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所神奈川県三浦半島 
オキニシケ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所秋田県男鹿半島 
ネコガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所秋田県男鹿市中字浜門口 
ヨナキボラ
備考岩川友太郎。 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所貝談漫録介類雑誌 
ホーガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所長崎市 
コーケニシ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所長崎県国見町 
ホランケー
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所長崎県対馬市上県町 
コウガイ
参考福畑敏光さん、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所長崎県平戸市度島、宮崎県日南市油津、福岡県、熊本県、有明海 
ヌノザラシ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所長崎県松浦市鷹島村 
カタガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所長崎県長崎市 
カイチョウ[貝長]
参考20190304 場所静岡県静岡市静岡中央卸売市場 
ヨコニシ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所香川県三豊郡詫間町粟島塩谷 
ヨナキメン
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所香川県丸亀市広島町江ノ浦・手島町・坂出市石島 
シロニシ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所香川県多度津町白方 
ホウヅキガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所香川県宅間町須田・仁尾町 
ショウタレガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所香川県庵治町竹居 
ヨナキツブ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所香川県高松市生島町 
ヨナキガイ[夜泣貝]
参考文献 場所鳥取県境港 
コケ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所鹿児島県串木野・出水 
コケミナ[苔貝]
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所鹿児島県阿久根市 
コウカイ[甲貝]
場所宮崎県日南市油津、福岡県、熊本県 
コチャニシ
場所熊本県上天草市 
タバコニシ[煙草螺]
場所島根県浜田市 
ナガゲ[長甲貝]
場所福岡県柳川市 
ヨナキモウバ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所山口県柳井市平群島