福島県相馬市『川合屋セトモノ店』でいろいろ

福島県相馬市で相馬焼、ラーメン丼を買う


食器に限りなく惹かれるのは、ボクが「からっちゃ(唐津屋)」に生まれたからだ。
食器店のことを東日本で瀬戸物屋、西日本で唐津屋と呼んだ言語の地方性が失われて久しいのは残念でならない。
相馬市内を歩いていて、「相馬焼」の文字に惹かれて食器店に吸い込まれた。

器は触ってみないとその真価はわからない


福島県相馬市の川合屋セトモノ店は現在は真新しいモダンな店となっているが、老舗の瀬戸物屋である。
相馬市中村(相馬家の城下町)は2011年の震災の年、3月11日の地震ではなく、その後相次いだ余震(?)での被害が大きかったという。震災前とは市街地の景観ががらりと変わってしまっている。
店のいちばん目立つところにあった「大堀相馬焼(浪江町)」はデパートの催事で見ているが、馬の柄のイメージでしかなく、実際に触っていない。ちなみに食器は見ただけではわからない。
手に取った小鉢は茶碗としても使えそうで、意外にも深みのある色合いで、焼きがいいためか軽い。馬の柄などなくても魅力的だった。

買った器は必ず計測する


同店では収集している年代物のラーメン丼も発見する。有田焼(佐賀県)『山忠陶苑』のもので、直径は19cmと小さくないが浅い。ひょっとしたら1970年以前のものではないかと思った。
ちなみに丼はもともとは液体を入れる器ではなく、惣菜などを入れるためのものである。これが丼となりご飯や麺類を入れるようになったのは江戸時代中期以後だ。

小さいけどモダンなのは1970年前後の特徴ではないか


現在の形のラーメン丼はいつ頃から作られるようになったのかは不明であるが、ラーメンはもともとはおやつとか小腹を満たすためのものだった。当然丼は小さく容量も少ない。これがじょじょに食事になり、腹を膨らませるためのものに変化する。

丼の膨らみにも時代を感じる


1952年小津安二郎の『お茶漬の味』で津島恵子(とてもきれい 注/川本三郎のマネ)と鶴田浩二が食べている中華そばの丼は、二人の手と比較してやけに小さいことがわかる。今回買った有田焼の丼はそれよりはモダンで大きいけど、中華そば(ラーメン)がまだ食事ではなくおやつとか、小腹を満たすためのものであった時代のものだと思っている。
ボクが1960年代に徳島県美馬郡貞光町町内の食堂で食べた中華そばも、空腹に耐えられなくなって昼下がりに食べている。


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