名残のヤリイカでげそ刺し
1尾からほんの少しだけ
さて、4月もあと数日となり、名残のヤリイカを買っては味見している。刺身にしたり、和えものを作ったり、比較的安かったので焼きそばに放り込んだり。お好み焼き用に切り身にして保存したりした。
普通、刺身にする胴(外套膜)が痩せ細っていて味気なかったものの、それを補って余りある部分があった。「げそ」である。漢字にすると「下足」であって、いかにも魚河岸めいた呼び名だと思っている。
すし屋で、ネタケースのヤリイカを見て「げそつけてくれるかな?」ときくと、「生にしますか?」と聞かれるなんざーー、町ずし好きにはたまらない。
ヤリイカは極端に腕(一般的には足)が短い。たぶんマスコミでは使えないヤリイカの呼び名に、「手なし」があるほど腕(手)が小さいのだ。
すし屋などでは数本仕入れないとそれだけの仕込みができないもので、ゆでるよりも生で食べた方がインパクトがある。
ツツイカ類の刺身はうまいと思うが、産卵後は胴以上にげその刺身がうまいのである。
水洗いして頭部と腕を切り放し、腕の先を切り落として皮を剥く。
料理ともいえないくらいの料理だが、こりこりと心地よい食感に、うま味も豊かだ。
これで正一合やれる味だと思っている。