渦巻処理した淡路島岩屋のマダイを食べてみる

食感が強く、うま味も豊か。岩屋の鯛のよさが出ている


今回の神戸旅(兵庫県神戸市)では、神戸市中央卸売市場『かねいわ水産』、桝光晴さんに、お世話になった。
さて、桝さんに見せて頂いたのが、渦巻処理である。
文字では知っていた、渦巻協会の渦巻処理でああるが、実際に見たのは今回が初めてだ。
と前回述べた。

桝さんに提供していただいたのが、兵庫県淡路島岩屋で上がったマダイである。
岩屋は淡路島だが、神戸にとっては駒ヶ林、垂水、須磨と同じように、前浜といっていいところだ。
目の下一尺を分けていただき、処理した翌日、翌々日、処理して4日目と食べてみた。
産卵場に集まるマダイを「魚島の鯛」というが、たくさんとれるという意味での旬である。
扱い次第では他の時期よりも安く、しかもおいしい。

さて我が家に到着したのは渦巻処理をした翌日である。
もっとも単純な刺身(生食)で味わってみた。
まず思ったのは、産卵直前の5月のマダイなのに食感がいいということだ。舌の上で存在感がある。
締めて1日たっても神経まで抜くと味がないのが普通だけど、味があるのは5月のマダイだからだろう。
秋から冬の個体は身が充実していて、張りがあり、強いうま味があるが、桜咲き、藤の花が終わる時季にかけて急激に味が落ちる。
いかな天下にとどろく「岩屋の鯛」でも処理次第では食べられたものではないはずだ。
それが渦巻処理で生かされている。しかも身に血液臭さがない。
大きく膨らんだ卵巣がなければ、5月のマダイとは思えない。

マダイのおいしさは皮にあり、そのままの味


翌日は切りつける断面を広くして、皮霜造りと2色盛りにしてみた。
5月のマダイは単に刺身よりも皮霜造りかも、と瞬間的に思ったものだ。
皮と皮下に脂があるのである。
強いうま味が感じられたのは、この日、締めてから3日目のマダイだった。
マダイのうま味は皮と皮の直下に多く、脂も身よりも皮際に多い。
マダイの皮霜造りは改めてうまいと思ったものである。

4日目、岩屋の鯛は食感は落ちても味がある


さて、最後の残り、締めて4日目のマダイは刺身にした。
色が血合いの赤が沈み、食感こそ落ちているものの、うま味が強く、最後の最後の一切れまでおいしく食べ尽くすことができた。

せっかくなので兵庫県伊丹市の「御免酒 老松 本醸造 上撰」を一献。

渦巻処理は海水が豊富に使えない普通の市場に向いている


瀬戸内海・大阪湾のマダイは寒い時季は明石海峡・鳴門海峡・紀淡海峡などの深場にいて、春になると浅場に上がってくる。
産卵は水深の浅い場所なので、平均水深が40m以下の瀬戸内海は格好の産卵場所となる。
この産卵場所に向かう鯛(マダイ)を「桜鯛」、産卵間近のマダイを「魚島の鯛」という。5月のマダイは「魚島の鯛」である。
魚には味のいいときと、たくさん揚がる時季、2回の旬があるということも忘れないで欲しい。
身に水分が多く、扱い方ではうま味成分が激減する。
これを最上の状態に保つのが渦巻処理かも。

卵巣がふわふわしている魚島の鯛


今回のものは渦巻処理したもので、目の下一尺体長39cm・1.35kgのものだ。
水洗いして三枚に下ろす。
卵巣がゆるく柔らかくなっているのに脂がある、
背と腹に分けて、初日(締めて2日目)は皮を引いて刺身に、翌日は刺身と皮霜造りに、最終日は刺身にした。


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