3月28日 石川県産マイワシ

産卵群ではなかった


八王子の市場にここ数日、同じ大きさの発泡でマイワシが来ている。結局、マイワシは一年間途切れることなく入荷してきたことになると、産地を見るために荷の蓋を返すといちばん見にくい発泡浮き彫りで「石川の四季のさかな」とある。石川県でも七尾(富山湾側)からじゃないかな、と思い、たった2尾買う。八王子の市場のいいところは最低限好きなだけ買えるところかも知れない。
測定すると2尾同じ中羽で、19cm SL・91g、ともっとも使いやすいサイズだった。見ている内にどんどん箱の中身が消えて行くではないか。人気がありすぎるくらいなのは、脂がのっているからである。マイワシのよし悪しは触っただけでわかる。
脂がのっているなとは思ったが、裂いてみたら思った以上だった。3月なのに真子、白子はなく産卵群ではない。刺身にすべきかと躊躇するくらいに脂がのっている。

無性に食べたくなる酢漬け


手開きにしてたっぷり振り塩をする。脂が強いので1時間置いて、酢で洗って、岩手県の酢に漬け込むこと1時間で酢から上げる。
今、酢がきいた酢じめの方が好きだ。ちなみにこの酢の加減の好みはボクの場合一定しない。ふらふらと変わる。ほんの十数年前までは軽く酢洗いする程度だった。
そのままで食べて、兵庫県久美浜の玉川という琥珀色の酒の肴にする。
燗をつけて桜の花びらが窓の外を風に流されているのを見ながら、というと情緒がありそうだが、午前2時で正1合。
酢じめは脂がのった個体なので舌の上で脆弱に崩れ、非常にうましだ。

春こ、こごみ、いわし


翌日は宵の口に同じ酒の肴として小鉢に仕立て上げる。
椎茸に軽く振り塩して網焼きにする。こごみはゆでる。
少量のコーレーグス、醤油と白味醂を合わせたもので、酢じめと一緒に3種和える。
外はただただ暗く、新書本をめくりながら燗酒正1合。
昔は夜でも、翌朝でも体層食べて酒をやっていたのに、年を取るというやつは不思議だ。


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