珍魚とはなんだ! カドガワフエダイの話
魚であれこれ騒ぎたいとは思わない

ボクの珍魚度は学者的だということを述べたい。
高級魚とか、そのへんに普通にいる魚に対して姿が面白いので騒いでいるのを見るのは嫌いである。
「リュウグウノツカイはどれくらい珍しいんですか?」
などという質問に、何年か前に魚類学者のSさんが困った顔で答えていた。
リュウグウノツカイは、見た目が奇妙で珍魚といえなくはないが、それほどたいした珍魚ではなく、博物館などでの必要性はそんなに高くない。
これに対して、今回、鹿児島県鹿児島市、大倉の久保さんが送って来てくれた画像のカドガワフエダイは、世界的に見て珍魚とは言えそうにないが、国内の魚類学者にとっては非常に貴重で、必要性も高い。
だいたい国内での発見個体数が少なすぎて、生息域すらわかっていない。
発見された個体の大きさを考えると、国内で再生産されているのか、どうかもわからない。
カドガワフエダイの珍魚度は今のところ高いけど、温暖化でこれから国内においても増える可能性がある。
先々ずーっと珍魚であり続けるかは微妙である。
我がサイトの珍魚度は変化するのだ。
確実にいえることは、今、大学、博物館にとってリュウグウノツカイはそれほど貴重ではないが、カドガワフエダイはとても貴重だ、ということである。
一般の人は変わった形をしていないと、珍魚とは思わない。
だから至って平凡な姿のカドガワフエダイは珍魚ではない。
魚類学者と一般人にとっての珍魚・貴重な魚というの尺度はまったく違っている。