夏に食べる長野県、おしぼりうどん

だしは使わず、大根のうま味と辛みだけで食べる


長野県には、そばやうどんを大根の搾り汁とみそで食べる文化がある。
上田市や高遠ではそばを食べ、うどんはスーパーで「おしぼりうどん(古越製麺所 御代田町・滝沢食品 千曲市)」でしか知らない。
農水省のサイトには長野県坂城町の郷土料理とあるので、「おしぼりうどん」の名を、御代田町と千曲市の会社がとったのかも知れないと、最初は思っていた。
ただ農水省は郷土料理を深く掘り下げたりはしない。

「おしぼり」というのは辛味大根を下ろして汁を搾ったもので、「おしぼり」で食べる「うどん」ということになる。
あたりまえだけど、そばを食べると「おしぼりそば」である。
長野県は、そばだけではなく、うどんもよく食べるところなので「おしぼり」でそばを食べるなら、当然、長野県の各地で、「おしぼり」でうどんも食べるはずという当然のことが、農水省には見えていない。

だから農水省が坂城町を挙げると、まるで坂城町だけの郷土料理のように見えしまう。
またゆで汁ごと出して熱いうどんを「おしぼり」で食べる、とするとそれが法律の如く一人歩きする。
無意識でも無駄な法律を作り出すのは愚か者のやることである。
本流などといういかがわしいことをいう人間が出てくる。

松代町で買ったときなどは普通の冷やしうどんのように食べる、と聞いた。
食べ方は家々で違う可能性がある。
農水省のページには往々にして、このような他の地域に対する配慮に欠ける決めつけが見受けられる。
農水省が郷土料理を大切に思うなら、この点、早急に改訂すべし。

春夏秋冬いつ食べもおいしい「おしぼりうどん」


さて、夏でもも冬でもいつでも長野県にいったら、生麺の「おしぼりうどん」を買って来る。
普通のうどんとの違いは少しだけ縮れていることかも。
自分の好み通りに、ゆでて水で洗ってしこしこにして食べる。
夏は薬味としての大根の旬なので、辛味大根は不要である。
だいたい辛味大根の「ねずみ大根」は手に入らない。

大根の先の方を下ろして、しぼればいい。
これでも辛いものが苦手になってきているボクには、辛すぎるくらいに辛い。
群馬県産のみそを「おしぼり」に溶かして、カツオ節とねぎを加えてうどんをすする。

これが辛いけど味わい深い。
大根の「おしぼり」には、辛いけど甘くて、少しだけ青臭みがあり、うま味豊かだ。
ここに、みそが加わると最強である。
カツオ節はいらないかも、といつも思うのに、また入れてしまうボクがいる。
うどん1パックがあっと言う間に胃の腑に消えるくらいにうまい。


関連コンテンツ

サイト内検索 (Google)

その他コンテンツ

ぼうずコンニャク本

ぼうずコンニャクの日本の高級魚事典
魚通、釣り人、魚を扱うプロの為の初めての「高級魚」の本。
美味しいマイナー魚介図鑑
製作期間5年を超す渾身作!
美味しいマイナー魚図鑑ミニ
[美味しいマイナー魚介図鑑]の文庫版が登場
すし図鑑
バッグに入るハンディサイズ本。320貫掲載。Kindle版も。
すし図鑑ミニ ~プロもビックリ!!~
すし図鑑が文庫本サイズになりました。Kindle版も。
全国47都道府県 うますぎゴーゴー!
ぼうずコンニャク新境地!? グルメエッセイ也。
からだにおいしい魚の便利帳
発行部数20万部突破のベストセラー。
イラスト図解 寿司ネタ1年生
イラストとマンガを交えて展開する見た目にも楽しい一冊。
地域食材大百科〈第5巻〉魚介類、海藻
魚介類、海藻460品目を収録。