未利用魚とはなにか? 1

未利用魚とは捨てる魚ではなく、売れない魚のことだ


多くの人(一般人)が、未利用魚とは、とっても焼却処分にしてしまうとか、埋め立てに使うとかする魚だろうと思っているはずだ。そんなものあるんだろうか?
ほとんどないはずである。今問題になっている魚は、未利用魚としながら、未利用ではない、魚たちだ。

水産庁のホームページを見てみる。
〈水産物の流通過程においては、魚体のサイズが不揃いであったり、漁獲量が少なくロットがまとまらないなどの理由から、非食用に回されたり、低い価格でしか評価されない、いわゆる「未利用魚」が発生しています。しかしながら、近年、この未利用魚を有効活用しようとする動きが広がっています。
未利用魚の活用は、食べ物を粗末にしない、資源を無駄なく利用していこうという点で、「MOTTAINAI」の精神につながるものです。また、これまでは採算が合わないということで有効利用されていなかった未利用魚を、関係者の創意工夫や加工技術により商品化することで新たなビジネスチャンスにつなげている事例もみられます。産地の手取りの向上、魚介類の消費拡大を通じた食料自給率の向上のためにも、水産物の生産から流通、消費に至る各段階の関係者の積極的な取組が重要です。〉
抜粋すると。
1、魚体のサイズが不揃いである。
2,漁獲量が少なくロットがまとまらない。
3、非食用に回されたり。
となると、未利用魚とは、利用魚そのものだとなる。

魚食普及センターとはいったいどのような団体なのかわからないが、ホームページを見ると。
1、価値がない・価値が低いので「低利用魚」
2、目的の魚に混じるので「混獲魚(コンカクギョ)」
3、雑多に獲れるので雑魚(ざこ・じゃこ)
4、メジャーでないので「インディーズフィッシュ」。
「MOTTAINAI」とはなんだろう? 「インディーズフィッシュ」とはなんだろう? 初めて聞く言語だ。このような低級な流行り言葉や、低級な言語は作らない方がいい。言語を勝手に作り出すのは世の中にとってマイナスである。

ちなみに水産庁の「1、魚体のサイズが不揃いである。」・「2,漁獲量が少なくロットがまとまらない。」と、魚食普及センター「2、目的の魚に混じるので『混獲魚(コンカクギョ)』」・「3、雑多に獲れるので雑魚(ざこ・じゃこ)」は同じかも知れない。
でもこれは20年くらいまえから、水産荷受け(大卸)で入合(何種類かの魚を混ぜて流通させる)を増やすなどで、やっていることで、目新しくない。また水揚げ港でもいろんな努力が行われている。
水産庁と魚食普及センターはこの分野では新参者である。この流通上に行われている努力を無視しているかのようだ。
個人的には長年取り組んでいる多くの産地や水産流通を無視して、今更なにを言っているんだろうと思う。

水産庁の「3、非食用に回されたり。」は魚粉になるということで、家畜の餌になることだろう。
これなどむしろ、利用されている魚といえそうである。

ただ、ここでわかることは未利用魚は廃棄する魚ではないということだ。未利用魚とは、水産庁・魚食普及センターによると、安い魚、売れ残りやすい魚、クセのある(臭味がある)のでで売れない魚、直接人間の口に入らない魚、ということになる。お金にならないと言い換えてもいい。
未利用(廃棄する)の魚ではなく、お金にならない魚と言い換えた方がわかりやすい。
なぜならより多様な魚をお金になるようにする、ということは、漁獲物の無駄がなくなるということだからだ。
未利用魚ということを考えるなら日本全国の魚の嗜好や価値観、古い食文化、新しい食文化を考えないといけないけど、そんなことはどこにも出てこない。
このあたりも実に残念でなならない。続く!


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