
貝殻は薄く長さ9cm前後になる。黄色、茶褐色の殻皮をかむり、後方(蝶番を上にして向かって左)で縮れる。
アゲマキガイの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度 |
食べ物としての重要度 |
味の評価度 |
★★★ 知っていたら通人級 |
★★ 地域的、嗜好品的なもの |
★★★★ 非常に美味 |
分類 |
軟体動物門二枚貝綱マルスダレガイ目ニッコウガイ超科ナタマメガイ科アゲマキ属
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外国名 |
Chinese razor clam
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学名 |
Sinonovacula constricta (Lamark,1818)
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漢字・学名由来 |
漢字 揚巻、総角貝。
由来・語源 『渚ノ丹敷』(1803年享和3年 曾永年)より岩川友太郎。アゲマキは有明海周辺での呼び名。「あげまき」とは古く子供の髪型のひとつ。髪を左右で分けて角状に巻き上げたもの。この2つの角状のものがアゲマキガイのふたつの水管に似ているためだろう。広辞苑
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地方名・市場名 [?] |
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生息域 |
汽水域、海水生。瀬戸内海、九州から朝鮮半島、中国。干潟の潮間帯。
有明海に残存する可能性はあるが、国内ではほぼ絶滅したのではないかと思う。 |
生態 |
産卵期は10月〜11月。
岸に近い干潟の高い周辺に貝殻長の7倍〜8倍の深さの穴をほって生息。 |
基本情報 |
古くは瀬戸内海、有明海などでたくさんとれていたもの。
クセがなく煮ても硬くならないので人気のある二枚貝であった。
それが瀬戸内海ではほぼ絶滅。
有明海でもほとんど見られなくなっている。
現在市場流通しているほとんどが韓国産。
市場などではマテガイと呼ばれているが、科を異にする。
 韓国産アゲマキ
韓国から輸入されたもの。 |
水産基本情報 |
市場での評価 市場で見かけるのはほとんどが韓国や中国からの輸入もの。国産は非常に希。国内では有明海に少ないながらも生息しているだけ。
漁法 手堀、アゲマキ釣り(鉤型金具。干潟に先が曲がった針金を差し込み、アゲマキを引っかけてとる)
主な産地 韓国、佐賀県、福岡県 |
選び方 |
原則的に生きているもの。触って貝殻が閉じるなど反応のあるもの。水管がダラリとしているなどのものは古い。 |
味わい |
旬は春から初夏。
貝殻は薄く割れやすい。軟体部は大きく水管が目立つ。
泥を含んでいることが多いので基本的に剥いて、泥をよく洗い直してから使う。
また軟体部の縁は料理したときに汚らしくなるので剥き取っておく。 |
栄養 |
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寄生虫 |
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食べ方・料理法・作り方 |
煮る(塩ゆで、煮つけ)、ソテー(バター焼き)、焼く(塩焼き)、揚げる(フライ)
 アゲマキガイの煮つけ
煮つけ 剥いて、泥などをよく洗い流す。軟体の周辺の黒い縁を丁寧に取り除き、水をよくきっておく。酒、みりん、しょうゆを煮立てて、少し煮つめ、短時間煮上げたもの。身がぷっくりとふくらみ、触感もよく、実に美味。  アゲマキガイのバター焼き
バター焼き 下処理をしたものに塩コショウしておく。これをバターでソテー、仕上げにパセリを散らす。アゲマキガイとパセリは合う。  アゲマキ焼き
焼き貝 むき身にしてドロや黒い皮膜を取りのぞく。水分をよくきり焼き上げたもの。塩味をつけても、そのまま焼いて柑橘類としょうゆで食べてもいい。  アゲマキのフライ
フライ むき身にしてドロや黒い皮膜などを取る。よく水分を切って、塩コショウ。小麦粉をまぶして卵黄をくぐらせ、パン粉をつけて揚げたもの。カキフライのような感じだが、味はもっと淡泊で貝らしいうま味が豊か。 |
好んで食べる地域・名物料理 |
ばらずし 岡山県。サワラなどとともに具材として欠かせないもの。 |
加工品・名産品 |
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釣り情報 |
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歴史・ことわざ・雑学など |
■ナタマメガイ科で唯一国産種(ナタマメガイ科の貝はアゲマキガイ一種類しかいない)。大陸性貝類の残存種(ユーラシア大陸とつながっていたときの種で、大陸から分離したときにも残った種)。 |
参考文献・協力 |
『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『水産無脊椎動物Ⅱ 有用・有害種各論』(奥谷喬 恒星社厚生閣)、『日本及び周辺地域産軟体動物総目録』(肥後俊一、後藤芳央 エル貝類出版局) |
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