イソフエフキ

代表的な呼び名クチナジ

イソフエフキの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
48cm SL 前後になる。頬には鱗がない。体側に目立った暗色斑がなく尾鰭は湾入する。胸鰭基部の裏側には小さな鱗が無数にある。側線から背鰭基部までの鱗数は小さいのも含めて5。
48cm SL 前後になる。頬には鱗がない。体側に目立った暗色斑がなく尾鰭は湾入する。胸鰭基部の裏側には小さな鱗が無数にある。側線から背鰭基部までの鱗数は小さいのも含めて5。[高知県宿毛市 48cm・2.524kg]
側線から背鰭基部までの鱗数は小さいのも含めて5。
胸鰭基部の裏側には小さな鱗が無数にある。
48cm SL 前後になる。頬には鱗がない。体側に目立った暗色斑がなく尾鰭は湾入する。胸鰭基部の裏側には小さな鱗が無数にある。側線から背鰭基部までの鱗数は小さいのも含めて5。

全関連コラム

珍魚度・珍しさ★★
少し努力すれば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚類綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ亜目フエフキダイ科フエフキダイ亜科フエフキダイ属
外国名
Pacific yellowtail emperor 龍尖、龍占(臺東)、紅龍(澎湖) 、阿氏龍占魚
学名
Lethrinus atkinsoni Seale, 1910
漢字・学名由来

漢字 磯笛吹 Standard Japanese name / Isofuefuki
由来・語源/岩場に普通にいるフエフキダイという意味だと思う。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)で新称とある。

地方名・市場名
フツナズ
参考『魚名からみる自然認識:沖縄・伊良部島の素潜り漁師の事例から』(高橋そよ 2014年03) 場所沖縄県伊良部島 
クチナジ
場所沖縄 
アカウチャ フツナヅ
場所沖縄宮古島 
クチナギ
場所沖縄八重山 

概要

生息域

海水魚。100mより浅い砂礫・岩礁地帯、サンゴ礁。
山口県豊浦以南、和歌山県串本以南、高知県柏島・宿毛、愛媛県愛南、屋久島、琉球列島。
台湾南部、香港、東沙諸島、南沙諸島、タイランド湾、東インド-西太平洋(キーリング諸島以東)、カロリン諸島、サモア諸島、ソサエティ諸島、ツアモツ諸島。

生態

産卵期は春。

基本情報

今や和歌山県・山口県日本海側でとれているが、水揚げが多いのは沖縄県である。沖縄県では庶民的な魚として日常的に食べられている。
「魚汁(みそ汁)」やバター焼きの定番的な魚でもある。
また大型の個体は別種の味が楽しめる。
珍魚度 和歌山県や高知県では珍しい魚ではなくなってきている、少しがんばれば手に入るし、沖縄県では日常的な魚である。

水産基本情報

市場での評価 沖縄ではもっとも親しまれている食用魚。比較的安い。
漁法 定置網、釣り
産地 沖縄、鹿児島諸島部

選び方・食べ方・その他

選び方

色鮮やかで触って張りのあるもの。

味わい

旬は夏から冬。
鱗は硬く取りにくい。皮は厚い。
やや骨が硬く、鰭などの棘が鋭い。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

イソフエフキの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、焼霜造り、皮霜造り、香酸柑橘類じめ)、ソテー(バター焼き、ムニエル、ポワレ)、汁(みそ汁、潮汁)、煮る(まーす煮、煮つけ)、焼く(塩焼き)
イソフエフキの刺身 沖縄県などで揚がるイソフエフキはそれほど大きくはない。だから庶民的な値段で、まーす煮やバター焼きにする。今回の高知県大月町の個体はハマフエフキと見まごうほどに大きい。
刺身の味も非常によく淡泊なはずの身に強いうま味がある。これほどイソフエフキの刺身がうまいとは思わなかった。身自体のおいしさを初めて知ったという感じだ。
水洗いして三枚に下ろす、腹骨・血合い骨を取り、皮を引いて刺身にする。青切りの小夏を添える。
イソフエフキの焼霜造り 皮を生かすなら皮霜造り(湯をかける)ではなく、焼霜造り(表面をあぶる)方がいい。皮を焼いた香りが非常によく、皮の真下にある脂が感じられる。とても味わい深い。
水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を切り、皮をあぶって氷水に落とす。水分をよくきり刺身状に切る。
イソフエフキの皮霜造り 30㎝前後が多いイソフエフキのうま味は皮目にあるが、湯をかけるだけでは皮が柔らかくならないのが残念。皮の直下には少ないながら脂があり、身に甘味がある。わさびしょうゆでも、酢じょうゆ、酢みそで食べてもいい。
三枚に下ろして皮目に湯をかけて冷水に落とす。水分をよく切り、適宜に切る。
イソフエフキの酢みかんじめ 大型のイソフエフキの身には味がある。これに強い塩をして柔らかい酢みかんの果汁で洗い流したもの。酢みかんはマイヤーズレモンや新品種の璃の香がいい。身の味わいはそのままに、味わい深い酢みかんの酸味が楽しめる。
三枚に下ろして背と腹に分ける。腹の身を薄切りにして多めの塩で締める。これを璃の香(酢みかん)の果汁で洗う。
イソフエフキのバター焼き(くちなじのバター焼き) 沖縄ではフライパンに入る大きさの白身魚は丸のままで、大きいものは適宜に切り、マーガリンでソテーする。これをなぜか「バター焼き」というがバターを使っているのを見ていない。水洗いして塩コショウして初めはサラダ油でこんがりとソテー。仕上げにマーガリンを加えて香りづけする。はじめからマーガリンを入れると焦げる。
くちなじのまーす煮 イソフエフキは小振りのものは丸ごと、大きいものは適宜に切る。水洗いして水分をよくきっておく。鍋に魚を入れてひたひたの水にやや多めの塩を入れる。これを強火で一気に煮る。豆腐を入れると魚以上に魅力的な味になる。ここでは青みにフーチバー(よもぎ)を使った。薬味は島唐辛子の泡盛漬けであるコーレーグスがいい。
イソフエフキの兜煮(煮つけ) 皮に厚みがあり、ゼラチン質で甘味・うま味がある。身はしっとりとしてこれまた甘味がある。身離れがいいのも魅力だろう。
水洗いして頭部を端割りにする。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、酒・砂糖・醤油・水で煮る。
イソフエフキのみそ汁(魚汁) ここではあらを使ったが小振りのものはぶつ切りにして使ってもいい。水洗いして水から煮てみそを溶く。仕上げにねぎを散らす。豆腐などを加えるとまたおいしい。ご飯のおかずに最適である。薬味は島唐辛子の泡盛漬けであるコーレーグスが合う。
イソフエフキの塩焼き 微かだが独特の磯臭さがある。あまり強いものではないが焼くことで強くなる。ただし上質の白身で焼いても硬く締まらず、味はいい。

好んで食べる地域・名物料理


くちなじの魚汁 沖縄の郷土料理「魚汁」は魚のみそ汁であるが、これが実にうまい。イソフエフキを水洗いして適宜に切り、煮てみそを溶くだけ。島唐辛子の泡盛漬けであるコーレーグスで食べる。[沖縄県与那城漁協 くじらばま]

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど