センネンダイ

センネンダイの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
70cm SL 前後になる(最大で116cm TL 重さ32.7kgになるとも)。薄い赤に、体側に頭部から尾にかけて鞍掛状の濃い赤帯がある。若い固体ほど体側の帯は濃く、成長にともなって薄くなる。[成魚]
70cm SL 前後になる(最大で116cm TL 重さ32.7kgになるとも)。薄い赤に、体側に頭部から尾にかけて鞍掛状の濃い赤帯がある。若い固体ほど体側の帯は濃く、成長にともなって薄くなる。[29cm SL・782g]
珍魚度・珍しさ★★★
がんばって探せば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★★
究極の美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目フエダイ科フエダイ属
外国名
Enperor red snapper, Red emperor
学名
Lutjanus sebae (Cuvier, 1816)
漢字・学名由来

漢字 千年鯛 Standard Japanese name / Sennendai
由来・語源 和歌山県田辺市で呼び名。『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 「千年に一度」とれるかどうかという珍しい魚という意味合いか?
〈和歌山縣田邊でセンネンダイと云うが、此地方でも稀である。元来熱帯性のもので、紅海から、印度及東印度諸島に分布しているものであるが、私はまだ和歌山縣以外に産することを知らない〉
標準和名を決めた時点での個体は宇井縫蔵の書籍からすると三、四寸とあるので幼魚だ。
フエダヒ科フエダヒ属センネンダヒ『日本魚類圖説』(岡田彌一郎、内田惠太郎、松原喜代松 三省堂 初版1935)、『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)

Cuvier
バロン・ジョルジュ・レオポルド・クレティアン・フレデリック・ダゴベール・キュヴィエ(Baron Georges Léopold Chrétien Frédéric Dagobert Cuvier 1769-1832)。フランスの分類学者。キュビエとされることが多い。スエーデンのリンネ、フランスのビュフォンの分類体系に解剖学や古生物学などを加味して現在の形の礎を作った巨人のひとり。
地方名・市場名
センネンダイ
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県田辺市 
サンバラダイ
参考奄美漁業協同組合 場所鹿児島県奄美大島 
サンバナー
場所沖縄本島 
アカダイ
場所沖縄宮古 
ミミジャー
参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012)、『沖縄水産試験場 沖縄で漁獲される主要魚の名称一覧表』) 場所沖縄本島知念、沖縄八重山 
マチ アカマツ

概要

生息域

海水魚。サンゴ礁・岩礁域。
兵庫県香住[幼魚]、島根県浜田[幼魚]、京都府舞鶴[成魚]、三重県[熊野市遊木/成魚]、和歌山県田辺[幼魚]、高知県須崎[幼魚]、愛媛県愛南[幼魚]、愛媛県深浦、小笠原諸島、鹿児島県諸島部・屋久島、奄美大島、沖縄。
台湾、広東省、海南島、江西省、西沙諸島、南沙諸島、インド・西太平洋。

生態

基本情報

本州などでも見つかっているが、主に小笠原と鹿児島県島嶼部で漁獲されている。亜熱帯・熱帯域では比較的普通の食用魚といってもいいだろう。
見た目のユニークさと名前の面白さから、今現在、非常に高価な魚となっている。
珍魚度 食用魚だが、主な水揚げ地が亜熱帯域に限られている。がんばって探さないと手に入らない。

水産基本情報

市場での評価 大型の白身魚で最近はでは鹿児島県や沖縄県以外でも超高級魚だ。
漁法 釣り
産地 東京都、鹿児島県、沖縄県

選び方・食べ方・その他

選び方

赤味の強いもので目が澄んでいるもの。鰓が赤いもの。触ってヌメリがさらっとしており張りのあるもの。

味わい

旬は熱帯なので明確ではないが夏ではないか? 小さくても味がいい。
鱗は非常に硬く、大きい。皮は厚みがあり強い。骨は硬い。
透明感のある白身で、透明感が長続きする。熱を通しても硬く締まらない。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

センネンダイの料理・レシピ・食べ方/蒸す(清蒸、酒蒸し)、生食(刺身、焼霜造り、皮霜造り、カルパッチョ)、焼く(塩焼き)、煮る(煮つけ)、揚げる(フライ、沖縄風天ぷら)、ソテー(ムニエル)、汁(みそ汁)
センネンダイの清蒸(蒸し魚) 白身魚を堪能する料理としては蒸し魚がもっともいいと思っている。皮周辺の味、身のきめ細やかな身が蒸すことでふんわりとする。これ以上においしい食べ方はないと思う。
ここでは切り身を使ったが大型の蒸し器があるなら兜を使ってもいいだろう。切り身を器に入れて酒を振って10分くらい蒸す。タレ(醤油・紹興酒・砂糖・魚醬を一煮たりさせる)をかけ、少し蒸す。取り出して香りのある野菜を乗せて、上から煙が出るくらいに熱した油をかける。
まずは皮から味わって欲しい。ゼラチン質で皮自体に味がある。これだけで御馳走である。身はほどよく繊維質で口の中でほぐれる。甘味も豊かで非常に美味だ。

センネンダイの酒蒸し 頭部を梨子割りにして、酒をふり、強火で20分くらい様子をみながら蒸し上げる。皮目がゼラチン質で甘みを感じ、身は絹のようになめらかで口の中でほどける。濃厚な味わいながら、どこか淡泊で後味がいい。
センネンダイの刺身 身質がよく、うま味成分も豊かなので刺身にすると抜群にうまい。脂がある時季ならもっと魅力的だろう。水洗いして三枚に下ろして腹骨・血合い骨を取る。皮を引き、刺身状に切る。鮮度がいいと硬いくらいなので薄めに切るといいだろう。
センネンダイの焼霜造り(あぶり) 皮の味を生かしての焼霜造りである。水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取る。皮を上においてバーナーであぶる。氷水に落として表面の炭化した部分を落とし、水分を切る。これを刺身状に切る。
センネンダイの皮霜造り 身だけでも充分おいしいが、皮に熱を通すとゼラチン質がぷるんとして皮下に味がある。水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取り、皮を上にまな板などの上に乗せる。上から湯をかけて氷水に落とす。水分をよくきり刺身状に切る。
センネンダイのカルパッチョ 三枚に下ろして皮を引く。皿ににんにくをなすりつけてオリーブオイルを垂らす、塩コショウををする。。できるだけ薄く切りつけてさらに並べて行く。並べ終わったらスプーンなどでとんとんと馴染ませ上に好みの野菜などをのせて、塩コショウ、オリーブオイルをかけ回して出来上がり。
センネンダイの兜焼き(塩焼き) 塩焼きにするなら頭部がいい。複雑な骨の間の身や皮が非常に味わい深い。頭部は梨子割りにする。振り塩をして1時間以上寝かせる。表面に出て来た水分を拭き取り、じっくり時間をかけて焼き上がる。食べ終わった後の骨湯も美味。
センネンダイの兜煮 大型魚なので頭部だけでも食べでがある。頭部は梨子割りにする。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、水・酒・みりん・醤油を合わせた中で煮る。いちばんうまいのは皮かも知れない。身はゆっくりじっくりせせって食べ尽くして欲しい。
センネンダイのフライ 非常に身質がよく身自体に味があるので、フライは最高である。揚げると身がふくらんで柔らかくうま味がある。水洗いして三枚に下ろし、血合い骨・腹骨を取る。切り身にして塩コショウする。小麦粉をまぶし溶き卵にくぐらせる。パン粉をつけて中温でこんがりと揚げる。
センネンダイの沖縄風天ぷら 冷めてもおいしい沖縄風の、味つけをした天ぷらを作る。三枚に下ろして適当に切る。軽く振り塩をして置く。衣は小麦粉・塩・少量の砂糖・ビール(重曹でも)・サラダ油を合わせたもの。切り身に小麦粉をまぶし、衣をつけて高温で短時間揚げる。
センネンダイのムニエル 水洗いして三枚に下ろし、適当に切って塩コショウする。小麦粉をまぶしてじっくり時間をかけて皮の方をソテーする。皮が香ばしく上がったら身をソテーする。切り身を取りだして柑橘類とバターでデグラッセする。バターやオイルに負けない身のうまさ、皮の香ばしさが堪能出来る。
センネンダイのみそ汁 豊かなだしが出るのでみそ汁に向いている。汁だけでも御馳走そのものである。もちろん付着した皮や身もおいしい。あらなどを集めて置く。食べやすい大きさに切り湯通しする。冷水に落として粗熱を取り、水を切る。これを水から煮出してみそを溶く。
センネンダイの汁 かま周りを潮仕立てにする。かまの部分は湯通しして冷水に落とす。残った鱗やぬめりを流して水分をよくきる。これを昆布だしで煮だして酒・塩で味つけする。だしは比較的あっさりしており、身の味わいが際立つ。

好んで食べる地域・名物料理

東京都(小笠原)、鹿児島県、沖縄県

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど