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料理法・レシピ

下北産サクラマスあらの塩煮

魚を液体(水)で料理するときの考え方から。魚を水で加熱するとき、海の魚だと体内に一定の塩分をためている。体内の塩分が少ないと海水が体に急激に浸入してくる。代わりに水分が放出されてしまう。水分が体外に出ていかないための塩分だ。塩分濃度は生物の体の水分を調節するためには一定でなければならない。淡水魚はこの水分が体外に出てしまうという、塩分のストレスが低いので、比較的少ない塩分しか持っていない。この海の魚の、塩分濃度以下の塩加減で煮ると、塩とともにうま味も水にでてしまう。魚の体が持つ塩の濃度よりも高い塩分濃度で煮ると、魚のうま味は外には出ないが、今度は水の中の強い塩気が魚の体に染みこんでいく。要するに物理のような話で、フレンチの世界では液体での料理法の考え方が明確である。その1海の魚を煮立たせない湯の中でゆっくりゆでるという料理がある。大方の地域では料理名がなく、ゆでる、とか、ボイルという。北海道オホーツク海・道東などでは「湯煮」、山形県では「湯あげ」、宮城県では「湯だき」という。これは塩分濃度の低い水、もしくは水だけで煮るとき水温を低くしてうま味が水に出ていかないようにする。沸点に近い(沸点に近い煮方の代表は豚骨スープを見るとわかる)温度でゆでると、うま味も体の中の塩分も水に出てしまう。その2海の魚を沸点に近い温度の、塩水の中で短時間で煮るという料理もある。石川県、福井県ではこれを「塩いり」、「浜いり」といい、沖縄県では「まーす煮」という。魚の体の塩分濃度よりも高い塩分濃度の湯で煮るもので、長時間煮ると塩水が魚の体に多量に浸透するために、短時間で煮るというものだ。念のために、鹿児島県奄美大島や沖縄の「塩煮(まーす煮)」は本来、非常に塩分濃度の高いものであり、保存性を重視していたので長時間水分がなくなるまで煮ていた。さて、今回のサクラマスのあらは、強い塩水の中で短時間火を通したものだ。骨は煩わしいので取り除き、大根おろしと酢で食べた。塩気があるので充分ご飯のおかずにもなり、ビールにも合った。この2で料理すると、意外にも、塩煮したサクラマスの脂はそのままで口に含んだときの口溶け感がある。思ったよりも味の幅が大きい。ご飯よりもビールだった。
コラム

さかな料理の入門7箇条。素直がいちばん

さかな上手とは、水産物(食用水産生物)を上手に、日々活用できる人間のことである。人間は生きていること自体が自然破壊、自然に対する悪影響を極力抑えなければならないが、生き物を無駄なく使うことも重要である。そのためには、さかな料理を習得しなければならないが、そのとき守るべきことをいくつか挙げる。さかな料理の入門八箇条(第一考)一、料理などで知ったかぶりはしない。知らないを武器にする。二、最初、向上心はいらない。もっとおいしくとか、正しい料理法とかは考えなくてもいい。向上心はおいおい勝手に自分の中に生まれてくる。三、道具は買わない。包丁くらいは家にあると思う。あればいい。さかな用に買うなんてやってはけない。だいたい包丁にこだわっている人に限って包丁を知らない。包丁を買うべき時は、自然にやってくると思うし、買うべきときが来なければ、切れない包丁を一生使い続けてもまったく問題はない。四、できるだけ下ごしらえは他人任せにする。スーパーとか魚屋でやってもらう。あとは焼くだけ、とか煮るだけ、とかがいい。五、惣菜を買って来ても勉強にはなる。外食も大いにするといい。コンビニにもさかな料理はある。刺身でも塩焼きでも煮物でも、まずは買って食べてみるべし。六、好奇心こそ料理上手を作る。さかな料理を楽しむべし。花から花へ飛んでいくモンシロチョウになれ。七、自分が作ったものは、おいしくない、と思いがちである。自分が作った料理はうまい、と思え。八、通の話は無視すべし。世に本物の通はいない。世間で通と言われる人はやけに説得力はあるが、正しいことを言っていない。自分本位である。他人のことは考えないし、排他的な考え方をする。できるだけ、通ではない素直な自分を探し出せ。入門編で終わっても、それでいいのだ。もっと詳しくなりたいと思ってから、もっと勉強すべし。さかな上手になるために、入門編は非常に大切である。この段階を経ないと「さかな上手」になるのがとても難しくなる。■写真は東京都八王子市、『舵丸水産』。
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