マダラ
代表的な呼び名タラ
全関連コラム
コラム
ぶわったらの寄せ鍋コラム
久しぶり、ぽんだらで「鱈鍋」コラム
肌寒い春の深夜の白子鍋で、今季これにて白子終いコラム
料理名は煮だら、ゆでだら、などなど料理法・レシピ
3月29日 マダラのブランダード郷土料理
マダラのどんがら・じゃっぱ汁郷土料理
東京の湯豆腐にぶわだら郷土料理
タラ飯について郷土料理
韓国で食べたタラの鍋郷土料理
タラの雄雌の見分け方郷土料理
ポルトガル風
珍魚度・珍しさ | ★★ 少し努力すれば手に入る |
---|---|
魚貝の物知り度 | ★★ これは常識 |
食べ物としての重要度 | ★★★★ 重要 |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
分類 | 顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区側棘鰭上目タラ目タラ科マダラ属
|
---|---|
外国名 | 英名/Pacific cod, Gray cod
|
学名 | Gadus macrocephalus Tilesius, 1810
|
漢字・学名由来 | 漢字 真鱈、大口魚 Standard Japanese name / Madara Tilesius ヴィルヘルム・ゴットリーブ・ティレジウス(Wilhelm Gottlieb Tilesius von Tilenau 1769-1857)。ドイツの博物学者、探検家、医師。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水魚。1280mよりも浅い大陸棚〜大陸棚斜面。水深150-250mに多い。
北海道全沿岸、青森県〜茨城県、[相模湾真鶴町岩]の太平洋沿岸、青森県〜山口県の日本海沿岸。
大陸棚周辺北緯37度以北の北太平洋。朝鮮半島から北米カリフォルニア州サンタモニカ湾まで。
生態
産卵期は12月〜翌年3月。
成魚は非常にどん欲で「鱈腹食べる」とあるのはマダラの生態から来る。
寿命は南では短く6〜8年、高緯度では11年以上。
基本情報
日本海山口県、太平洋茨城県以北に生息する深海魚で、典型的な北国の魚である。
大口魚の別名があるように口が非常に大きく、「たらふく」に漢字「鱈腹」がしばしば当てられるように非常に獰猛で魚でも甲殻類でも大量に食べる。水洗いしていると様々な魚が飛び出してくるもの楽しいものだ。
タラ漁自体は水深の浅い北国で始まったが、室町期など畿内中心の時代には北陸などでとれたマダラが塩漬けになったり、乾物になったりして都に送られていたので食用魚としての歴史は古い。
鮮魚は国内でも関東の江戸(東京都)以北の東日本でよく食べられていたが、高度成長期を経て全国的な魚となる。特に北陸・関東以北では古くから寒い時期の鮮魚としてもっとも重要なものである。汁に鍋(たらちり)材料に寒い時期に欠かせない。もともとは塩蔵品での流通であったが、流通の発達から鮮魚でも流通するようになっている。塩蔵品の原材料は需要の高さからアメリカ、ロシアなどから輸入してまかなっている。
「くもわた」、「きく」、「たち」などとも言われる白子は非常に高価であり、これも輸入されている。マダラの雄が断然雌よりも高いのは身質のよさもあるが、白子がおいしいからだ。
タラコはスケトウダラの子であり、マダラのものではない。マダラのものはスケトウダラよりも落ちるので特に「マダラ子」と呼ばれている。
珍魚度 平凡な食用魚だが、食材として手に入れるのは簡単ではあるが、全容(丸)のまま姿を見るのは努力を要する。
水産基本情報
関東では丸(鮮魚)、フィレ(塩ぶわ、生ぶわ)など形態はいろいろ。年間を通して市場にある。アメリカなどからの輸入が多く、国産はやや高価。頬(ほお)、かまなど部分部分を分けての流通もある。卵巣はやや高値。国産ものの白子は常に品薄感があり非常に高く、輸入ものはやや高価。
漁法 定置網(底建網)、刺網、釣り、底曳き網
主な産地 北海道、青森県、宮城県、岩手県、新潟県、秋田県
選び方・食べ方・その他
選び方
触ってしっかり張りのあるもの。目が澄んでいて鰓が鮮紅色のもの。
甘塩、冷凍など様々な形で流通していますが、寒い時期の生はクセがなく旨みが豊富。切り身は幅があり張りのあるものを。また白子や卵、内臓です。白子の味はフグとともに最上級とされます。マダラの卵は「たらこ」と一般に呼ばれるスケトウダラに味の点では及びませんが、安くておいしい。肝や胃袋などは身よりも栄養価が高い。
味わい
旬は産卵期と重なり秋から冬で寒くなるほど美味しくなる。また山形県庄内地方では産卵後、回復期である5月、6月くらいからの個体も「木ノ芽たら(きのめたら)」といって味がいいという。
鱗は薄く小さく取りやすい。皮はやや強く厚みがある。骨は軟らかい。
クセのない適度に繊維質の透明感のある白身で白濁するのが早い。熱を通しても硬く締まらない。
白子は軟らかくクセがなく熱を通しても硬く締まらない。卵巣は卵粒が大きいのでスケトウダラと比べると一段味が落ちるとされるが、比べなければ美味。
栄養
良質のタンパク質を豊富に含み、カリウム、カルシウム、リンなどミネラル分をバランスよく含んでいる。脂質が少なく、低コレステロール、低エネルギーであり、アメリカ、ヨーロッパなどではダイエット食とされています。また脂質、ビタミン類などは肝臓、白子などに多い。
危険性など
ー
食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
丸干し 伊藤商店(岩手県宮古市)
【漬け魚】
漬け魚 味噌漬け、醤油漬け、粕漬けなどになる。
【精巣】
たちかま 精巣とデンプン、塩で蒲鉾状にしたもの。北海道の郷土料理を加工品にしたもの。『北洋食産』北海道利尻富士町
釣り情報
常磐から福島、岩手県などでは中深場釣りで、エサは短冊など魚の切り身で釣る。
歴史・ことわざなど
吹雪鱈 「青森の冬は吹雪鱈の漁期です」。『板極道』(棟方志功 中公文庫 1975)
年越しにたら汁 下北半島では〈年越用の高膳には、たら汁、サケの焼き魚、たこの刺身……〉『聞き書 青森の食事』(農文協)
新鱈造り 内臓を口から抜き、塩蔵にしたもの。腹を割かないので武士には縁起物として珍重されていた。『青森県 さかな博物誌』(日下部元慰智 東奥日報)
冠婚葬祭に 江戸で武家、商家をとわず、年越し、松の内、初午の祝い膳を賑わせていた。『青森県 さかな博物誌』(日下部元慰智 東奥日報)
鱈積み船 明治24(1891年)、東北本線が開通するまで、下北から毎年江戸(東京)へ送られる「鱈積み船」というのがあった。
煮つけ魚 〈比目魚、鰈、鮎並、鰺、鱈、鯡、鮫、生節等は皆煮つけで、焼くのは蒸し鰈、魴鮄、鰯、飛び魚くらいであたが、煮肴は私は嫌いであった〉『幼少時代』(谷崎潤一郎 岩波文庫 初版は文藝春秋社1957)
塩蔵・節物 〈越前のもの天下に甲(だいいち)なり、蝦夷越後に多し、奥羽(むつでわ)よりも出す、皆塩蔵(しをつけ)なり、塩によろしく、生によろしからず、歳首(おんじ)の節物なり〉『魚鑑』(武井周作天保辛卯 1831)
鱈腹 当て字とされている。たくさん食べるとだが、マダラも胃袋がはち切れるほどに獲物(魚)を飲み込むため。
出鱈目 当て字。「目」はサイコロの目のこと。出たとこ勝負に出ること。筋の通らないこと。
地方名・市場名
参考富山県水産試験場 場所富山県新湊
参考富山県水産試験場 場所富山県魚津市
参考富山県水産試験場 場所富山県魚津市など
部位精巣(白子) 場所秋田県
ダダミ
サイズ / 時期精巣 備考雄の白子。 場所秋田県
部位肝 参考20191217_18むつ市・佐井村 場所青森県むつ市・佐井村
部位胃袋 参考20191217_18むつ市・佐井村 場所青森県下北郡佐井村
1 備考基本的にマダラは白子を持つ雄が高く、価値が高い。「白子」の「白」で雄のこと。 参考20191217_18むつ市・佐井村 場所青森県佐井村・むつ市
場所山形県鼠ヶ関
サイズ / 時期小型 備考500g〜700gくらいのもの。安くておいしく、捨てるところがないので人気が高い。 参考聞取、スーパー 場所福島県南会津町、関東の市場
部位卵巣 場所関東
部位精巣(白子) 備考〈…多くの複雑な褶(ひだ)があって、人間の脳の褶か、うずまく雲のように見えるので〉『さかな-日常生活と魚類-』(内田恵太郎 朝日新聞社 1966) 参考聞取 場所関東の料理店、石川県
部位精巣(白子) 場所北海道、青森県下北、秋田県
部位精巣(白子) 場所北海道
部位精巣(白子) 備考これは形が菊の花に似ているためだろう。 場所宮城県石巻市魚町『天祐丸冷凍冷蔵株式会社』尾形清雄さん
部位精巣(白子) 場所韓国
部位肝臓 場所山形県
備考青森県陸奥湾に産卵のために入って来る鱈をイリダラ(入鱈)、産卵後に出て行くのをデタラ(出鱈)。
アカハダ アラ スイボオ
参考文献より。