202310/18掲載

料理名は煮だら、ゆでだら、などなど

「塩蔵タラ」って、とっても便利で使いやすい

塩蔵タラ

ゆでただけのマダラ(鱈)を初めて食べたのは日本橋大伝馬町でアルバイトをしていたとき、神田駅近くの居酒屋で、だ。「ゆでだら」と言っていた気がするが、はっきりしない。同様の料理の名を知っている人がいたら教えて頂きたい。
初食いといったが、記憶があまりにもあいまいなので、なんども違うことを書いている気がして不安になる。
当時、よく神田駅周辺で酒を飲んでいたが高架下の店と、アルバイト先の社員さんのオネエサンのやっていた店で何度か食べている。その前にも食べた記憶がある。最近、めったにこれを出す居酒屋はないそうだけど、当時は当たり前過ぎる居酒屋メニューだったのかも。
ちなみに京都市内の居酒屋でも食べているが、マダラの切り身以外にも水菜、干し湯葉(?)などが添えられていて、少しオシャレ過ぎるものだった。
関西以西では京都でしか食べていないが、この点でも調べる余地がある。
マダラは日本海と茨城県以北に生息している大型の魚だ。考古学的には古代から食べられていたが、歴史的に見る限り室町時代以降に文字として登場してくる。
産卵期は浅場に上がってくるが、それでも100m以深にいる。この深さの魚は中世になり、漁法の向上からとることが出来たのかも知れない。
ちなみに「たら」という言語は明治時代の初めに日本橋魚河岸で使われていたもので、「真(ま)」は魚河岸の人間と魚河岸を利用していた人達が、スケトウダラなどと区別するためにつけたのだろう。
国内のタラ科はスケトウダラとマダラの2種だが、東京の鮮魚はマダラが主流である。スケトウダラの生はほんの20年くらい前までは盛んに東京にも来ていた。それが近年急激に減少している。そして東京で鮮魚と同じくらい流通量があるのが「塩蔵タラ(ぶわたら)」である。
ちなみにマダラの流通の歴史は室町時代にまでたどれとしたが、基本的に乾物(棒だら)であった。それが塩蔵タラでも流通するようになり、氷が作れるようになると鮮魚でも流通することになったのだと考えている。
今回の「ゆでだら」は「塩蔵タラ(ぶわたら)」で作った。三枚に下ろして塩漬けにしたもの。古くは国内で水揚げされたもので作られていたが、近年ではほぼ総てがアメリカやロシアからの輸入されたものを原材料としている。当然、今回の「塩蔵タラ」も原材料はアメリカアラスカ産である。
余談になるが、「塩蔵タラ」は魚の初心者にはもってこいの食材である。最近では塩分が低いのでこのままフライにしてもいいし、ソテーして朝ご飯に食べてもいい。魚を食べない人の多くが最初の一歩が踏み出せないはず。そんなときには、とりあえず「塩蔵タラ」をチョイスしてみて欲しい。

居酒屋の一品だけど自宅でも作って欲しい

ゆでたら

作り方は簡単すぎて、料理以前といってもいいだろう。
昆布だしで火を通すだけである。あまり火を通しすぎると塩分もうま味も逃げてしまうので、要注意。
いつもは大根おろしや柑橘類、一味唐辛子で食べるのだげれど、今回は桃屋の「きざみにんにく」をプラスしてみた。
これが実にいい。大根おろしやねぎ、柑橘類だけだと優しい穏やかな味だけど、「きざみにんにく」を添えるだけでパンチの効いた味になる。同じく桃屋には「ラー油」というのがあって、これも使えそうである。
このようにあれもこれもと、プラスするものを考えるのも楽しくないか?
くどいようだが、きざみにんにくで淡泊過ぎるマダラの味が激変する。
体調不良なので、これで薄すぎる酎ハイをやる。

このコラムに関係する種

マダラのサムネイル写真
マダラ英名/Pacific cod, Gray cod海水魚。1280mよりも浅い大陸棚〜大陸棚斜面。水深150-250mに多い。北海道全沿岸、青森県〜茨城県、[相模湾真鶴・・・・
詳細ページへ

関連記事 ▽




呼び名検索

方言を含む全ての名(標準和名,方言,呼び名,外国名,学名)から水産物を検索します。

閉じる