202510/14掲載

深夜のビールに愛知県産「きすの天ぷら」

深夜に食べても、おいしいのがシロギスの天ぷらだ


台風が2つ通り過ぎたのもあって、八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産の店頭にはめぼしい魚が少ない。
ボクが行った時には、あらかたいいものは売れてしまった後だった。

それでもじっくり探せばあるのが日本列島のよさだと思っている。
愛知県産シロギスに高値のものと、安値のものがある。
安値の方が大きく、高値の方が小さい。
安値の方が鮮度が悪く、高値の方が鮮度がいいのだ。
塩煮にするなら安い方、天ぷらなら高い方と、迷って天ダネとして高値を買って来る。
体長15cm・重さ40g前後は生で食べるには小さすぎる。
どのような世界でもそうだが、このようなわかりにくさがあるから面白いのだ。

持ち帰ってすぐに水洗いする。
腹開きにして腹骨と血合い骨を抜き、背鰭を切り取り、縁をきれいに成形する。
軽く振り塩をしてペーパータオルにくるんで保存する。
これを大トラブルを抱えた深夜に揚げる。
玉ねぎと金時草を一緒に揚げ、大根おろしと高知県土佐市『白木果樹園』の小夏を添える。

シロギスにとっては決していい時季ではない。
揚げても身がふんわりふくらまない。
それでも皮目にある独特の風味と身の甘さがある。
やはりシロギスの天ぷらはうまい。
時季外れなのに予想以上にうまい。

関東にとっての最大の供給地は昔は日本海だったが、最近は愛知県ものばかりになっている。
どうしてだろう? なんて思いながら新潟県で買ったサッポロビールの「風味爽快ニシテ」500ml を2本も飲んでしまう。
ボクって逆境に弱いな。

体表がざらついている時季だけど、それなりにおいしい


シロギスは北海道南部から鹿児島県までの浅い砂地にいる。
真珠を思わせる輝きのある白で非常に美しい。
江戸前天ぷらを代表する種で、国産のシロギスは高級品である。
産卵期は初夏〜秋口で8月から10月いっぱいが不安定な時季。
寒い時季はあまりとれないので、今年、これが最後のシロギスかも。
■舵丸水産は、一般客に優しいので、ぜひ近くにお住まいの方は一度お寄り頂きたい。

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シロギスのサムネイル写真
シロギスJapanese sillago海水魚。沿岸の砂地。北海道積丹半島〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、襟裳岬〜九州南岸の大平洋沿岸、鹿児島県種子島、瀬戸・・・・
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