こはだの酢じめは秋の季語
高くても買ってしまう、「こはだ」はそんな魅力がある

10月、31日、八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産の店頭に魚がなかった。
当たり前だ。台風が来ているのだから。
当然、ほとんどの魚が値を上げている。
話が横道にずれるけど、魚はないときな、ない、方がいい。
天候に関わりなく魚がいっぱいある世界にだけは行きたくない。
気になったのは袋入り(1㎏入り)の「こはだ(コノシロの体長10cm〜14cm)」だ。
産地を聞くと熊本だという。
有明海産もしくは天草だろうか。
「こはだ」は年々右肩上がりに値を上げている。
眼の前にある「こはだ」だって、決して安くはないが手が出てしまう、そんな台風来襲である。
これで金土日月の4日間楽しめばいいのである。
さて、水洗いして開き、強めの振り塩をして30分。
我が家の定番、ミツカンの穀物酢で塩を洗い流す。
水気を切り、こんどはミツカンの米酢で30分つける。
つけ込み時間は脂ののりぐあいで変わるが、今回の熊本産は脂がたっぷりのっていたので30分とする。
ちなみにボクはあまり生っぽいのは好きじゃない。
これを酢から引き出して、あまり酢を切らないで保存する。
まあボクのやり方は町のすし屋風だけど、絶対やってはいけないのが香りのある伝統的な製法の酢を使うこと。
魚を調理するときの酢は無個性がいい。
赤酢には惹かれるところがあるが高すぎる。
酢が馴染む前に1切れ食べてみて、驚くほど脂がのっているので驚きを感じる。
ニシン目の中でもコノシロは脂がのっているといっても、決してのりすぎにはならない、嫌みがないのがいい。
さて、これを酢の馴染みを確認しながら3日にわたって楽しむ。
1日目は酢が若い気がするが、脂がのっているのでとろりと舌に吸いつくようである。
ちょっとだけ脂がとろけるときの甘さがある。
ニシン目らしい強いうま味と野卑な部分もいい。
2日目、3日目と味が変化していく

2日目は酢が馴染んで味は絶好調である。
高知県安芸市、『岡宋農園』の「けらじ」を振って食べてみたが、酸っぱさの中にほの甘さのある「けらじ」と「こはだ」の相性もいい。
3日目はすし屋の言うところの、つかり過ぎというヤツだが、ボクのようなアンチ通は、このつかり過ぎが大好きなのである。
3日にわたって合わせたのは新潟市西区内野町の「鶴の友 別撰」だけど、「こはだ」にはウマスギかも?