202510/15掲載

10月、釧路産ハタハタを湯煮にする

ハタハタは焼くか煮るかで、まずは煮る


台風が2つ通り過ぎたのもあって、八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産の店頭にはめぼしい魚が少ない中に、台風の影響を受けなかった北海道ものがそれなりにある。
いきなり目に飛び込んできた釧路産ハタハタを、いきなり袋をちぎって、いきなり確保する。

これを夜、湯煮にする。
「湯煮」とは液体でゆっくり魚などに火を通す料理法で、言語自体は北海道道東からオホーツク海のもの。
山形県庄内では「湯上げ」である。
なぜ、「湯煮」としたかというと根室市であった釧路町の方に「道東では「『めんめ(キチジ)』を『湯煮』にすることが多いがハタハタでも作る」と聞取しているからだ。
このあたり釧路市、釧路町、厚岸町に行って調べたいものだと思っているが果たせていない。
ちなみに今回、「湯煮」を使ったのは根室での聞取があったためで、無闇に料理名を当てはめるべきではない。
フレンチではポシェに近いもので、熱を通す本体からできるだけうま味、というかエキスを煮汁に放出しない、ための料理法だ。

今回はズボ抜きして、そのまま水からゆっくり火を通し、あくをすくいながらことこと15分くらい煮たもの。
ハタハタ、キチジはきれいな魚なので湯通しは無用。

これを高知県土佐市『白木果樹園』の「ぶしゅかん(モチユ)」と醤油だけで食べる。
煮上がりにも果汁を落としているので酢みかんを使わない北海道の料理に酢みかんと、異色の取り合わせとなる。

真子と肝の味だけで値千金かも


非常に身離れがよく、この薄い皮と身に強い味がある。
豊かなうま味をともなっているのに、身が上質なので嫌みがない。
そして肝心なのは肝と真子(卵巣)である。
今年最初の「湯煮」なのにこれ以上望めない火の通し方ができた。
卵粒はあまり硬くなく、ねっとりとしている。
食感がいいだけではなく、強いうま味があるのがハタハタの真子のよさである。

汁は単調な味だが、「ぶしゅかん(モチユ)」の酸味と香りが引き締まった味に変化させている。
煮汁ごとほとんど食べた後、最後に肝を食べると、また作りたくなるのが「湯煮」である。

合わせた酒は新潟市西区内野町の「鶴の友 別撰」。

北海道産ハタハタはいつでもある


ハタハタはスズキ目カジカ亜科で広い意味ではカジカに近い魚である。
北太平洋に生息域を持ち、国内では北海道全沿岸と東北太平洋側、日本海で見られる。
日本海の系群が有名だが太平洋側にも産卵群がいる。
北海道からは秋から春、初夏までいろんな産地から入荷を見る。
鱗がなく下ろしやすいとても扱いやすい魚だ。
■舵丸水産は、一般客に優しいので、ぜひ近くにお住まいの方は一度お寄り頂きたい。

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ハタハタのサムネイル写真
ハタハタ英名/japanese sandfish,Sailfin sandfish海水魚。水深100〜400メートルの大陸棚砂泥地。産卵期に2〜10メートルの浅場に移動する。北海道太平洋沿岸、オホーツ・・・・
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