ハタハタ
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珍魚度・珍しさ | ★★ 少し努力すれば手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★★ これは常識 |
食べ物としての重要度 | ★★★ 一般的(流通量は普通) |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
分類 | 顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カジカ亜目ハタハタ科ハタハタ属
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外国名 | 英名/japanese sandfish,Sailfin sandfish
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学名 | Arctoscopus japonicus (Steindachner, 1881)
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漢字・学名由来 | 漢字 鰰、鱩、神魚、雷魚、神成魚、波太多雷魚、波多波多、斑斑、霹靂 Hatahata Steindachner Franz Steindachner (フランツ・シュタインダハナー/1834-1919)、オーストリア ウイーン生まれ。魚類学・動物学者。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水魚。水深100〜400メートルの大陸棚砂泥地。産卵期に2〜10メートルの浅場に移動する。
北海道太平洋沿岸、オホーツク海沿岸、北海道〜山口県の日本海沿岸、希だが岩手県〜茨城県の太平洋沿岸。
朝鮮半島、日本海〜オホーツク海のロシア沿岸、千島列島、カムチャツカ半島南東部。
生態
朝鮮半島東沿岸系群と秋田県沖などで産卵する日本海北部系群に分かれる。
産卵期、稚魚期以外には深海に棲息する。
産卵期は晩秋から冬(11月〜1月)。産卵期には浅瀬の藻場などに集まる。
卵は海水に触れると粘着物質を分泌して塊になり、藻などに付着する。
抱卵数は少なく大きい。一個体で1000粒から2400粒。
雄の方が早く成熟し、雌の方が遅い。
雌(めす)の方がやや大きくなる。
基本情報
寒流域の沿岸にいる体長20cmほどの小魚で日本海北部と西部に系群があり、また北海道にも系群がある。日本海に多い魚で、国内でも人気があるが、韓国などそれ以上だと思われる。
古くは秋田県、山形県でとくに珍重していた。江戸時代から定置網、地引き網、手繰り網などで秋田では大量に漁獲。干しか(肥料)などに加工されて、北前船で西日本にも運ばれていた。また男鹿半島、八森などでとった鮮魚は秋田県だけではなく、庄内地方(山形県)にも運ばれていたようだ。
知名度が上がったのは1970年代ではないかと思うが、その頃すでに冬季限定ではあるがまとまって入荷をみていた東京市場(東京都周辺)、関東あたりまでの魚であったと思われる。全国的に知名度が上がったのは山陰でもまとまって揚がるようになったためだ。
鮮魚での流通も増え、加工品もあるので全国的な魚となっている。
小骨がなく、上品な味わいの魚である。鍋物、塩焼き、煮つけなどで食べられている。干もの、魚醤(しょっつる)、飯ずし、なれずし、など様々な加工品も作られている。
珍魚度 普通の食用魚である。鮮魚は寒い季節のものだが、加工品は年間を通してたやすく手に入る。
水産基本情報
市場での評価 主に秋から初夏にかけて入荷してくる。冬は高値。その他の季節は安い。
漁法 底曳網、定置網、刺し網
主な産地 秋田県、北海道、兵庫県、鳥取県、石川県、山形県
選び方・食べ方・その他
選び方
体色の濃いものがいい。色があせて白っぽくなったものは古い。触ってぬめりがあり、張りのあるものがいい。
味わい
旬は地域で異なる。北海道、東北日本海側、山陰で旬が違う。
北海道は一年を通して入荷してくる。
秋田県などは晩秋から冬。
山陰、兵庫、京都府などは春にまとまってとれ脂がのっている。
鱗がない。皮は薄く破れやすい。骨は軟らかい。
白身で熱を通しても硬くならない。身離れがいい。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
多様な作り方があるが、ここではハタハタを水洗いする。醤油・酒の地につけ込む。このつけ汁と水、醤油などで煮汁を作り、料理する。
野菜はごぼうとネギが基本だという。
漬け込みをしておけば保存性が高まる上に、あっと言う間に作ることができる。合理的であり、非常にうまい料理でもある。
加工品・名産品
釣り情報
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歴史・ことわざなど
ハタハタは冷えの魚 秋田市仁井田。『いなかの食卓 秋田だより』
ぶりこ ハタハタの商品価値を秋田県で上げているのが卵巣である。秋田では「ぶりこ」という。確かにこの「ぶりこ」、旨味が濃厚にありねっとりと舌にからむ。身のうまさだけでも一級品のハタハタだが「ぶりこ」が入っていなければ値打ち半減なのである。
ぶりこの語源 江戸時代はじめ常陸(現茨城)から秋田に国替えになった佐竹氏が、正月にはブリを食べていたのを、ハタハタで代用するしかなかった。それで常陸のブリをしのんで、卵巣をせめても「ブリの子」と呼んだことに始まる。
雷魚 秋田では海が荒れて雷鳴がとどろくようなときにとれると言われる。
漁獲量 北海道釧路、噴火湾、北陸、山陰などが多い。秋田名物であるハタハタを1960年代の水準まで戻そうという努力は、やや上向きにある漁獲量に表れている。漁獲量の激減した1990年前後に秋田市民市場を歩いても県内でとれたものは見当たらず、鳥取や北海道からのものばかりであった。これが2006年には東京でも秋田産の大ハタハタが目立った。
とろはた 鳥取県で9月〜5月にとれるものは朝鮮半島が産卵場で、未成熟では抱卵していないが、脂がのっている。これを鳥取県がブランド化したもの。
最近東京では 〈郷土料理を食べさせる店が増え……中でも秋田のショッツル鍋は有名〉『魚のシュン暦』(金田尚志 石崎書店 1959)
地方名・市場名
参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 場所京都府久美浜
参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 場所京都府久美浜、鳥取県岩美町浦富
備考「白はた」の白の省略。会話では「はた」と呼ばれることが多い。 参考聞取 場所兵庫県香美町香住など但馬地方
参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 場所新潟県能生町
参考文献 場所秋田県
参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 場所秋田県、山形県、新潟県、富山県
参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 場所鳥取県
備考サタケウオという異名がある。これは佐竹氏は代々常陸の名族であったが、関ヶ原の戦の後、徳川家康によって秋田に国替えとなった。それまで常陸でとれていたハタハタが佐竹氏を慕って秋田でとれるようになった。 場所俗説
備考秋田県などのカミナリウオは雷のなる大荒れのときに岸に大群が寄せてくるから。 場所秋田県など
サイズ / 時期小型 備考明治時代に売り出された口中清涼剤「仁丹」は小さな銀色の粒だ。国内の生物などの呼び名で「小さい」という意味に使われることが多い。 参考聞取 場所兵庫県但馬地方香住など
場所鳥取県、島根県隠岐の島町
参考文献より。