イワシ
イワシについて

イワシは基本的にニシン科、カタクチイワシ科の魚をさす。特に「イワシ3種」が重要である。ニシン科のマイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシ科のカタクチイワシだ。この3種は漁獲量が多く、鮮魚だけではなく加工業にとっても重要だ。要するに産業種というといいだろう。産地のバックヤードには加工業が控え、この3種で生計が立つ。
基本的にこの3種をイワシとするが、カタボシイワシなどサッパ属の漁獲量が増えてきている。今や無視できない存在となっているのでサッパ属も含める。
イワシというとマイワシのことであることが多い

マイワシについて
単に「いわし」というときにはマイワシであることが多い。かつては450万トンも漁獲されて、国内の全魚種漁獲量の40%を締めて事もある。
鮮魚でも利用されていたが干ものなどの加工品から、家畜の飼料にも、肥料などにも利用されていた。それが漁獲量が減り、10分の1以下になっている。それでも干ものや缶詰、鮮魚としてスーパーなど小売店、料理店に欠かせない存在である。
稚魚期には少ないながら「しらす干し」、成長すると「煮干し」と稚魚期から利用されているのも特徴だろう。
日本各地で伝統的な料理(郷土料理)の主材料となっているのも重要な点だろう。福岡県福岡市の鍋、千葉県九十九里の「なれずし」など石川県の「塩いり(浜いり)」など挙げれば切りがない。鮮魚は国産だけでは需要を満たせず、アメリカカ・リフォルニアなどからの輸入品も多い。
カタクチイワシもイワシと呼ばれることが多い

カタクチイワシについて
カタクチイワシは鮮魚で見かけることは少ないが加工品はとても日常的である。
特に「しらす干し」、「ちりめん」は稚魚をゆでて干したもので、食卓に欠かせないものだ。成魚よりも稚魚の方が高価なのも特徴のひとつだろう。
少し成長したものは「煮干し」になる。「煮干し」は多くの魚をゆでて干したものをさすが、代表的なものが本種のもの。単に「煮干し」は本種のものである。西日本での麺類のだしや煮ものなど非常に多用されている。
目ざし・丸干しはウルメイワシ
「イワシ」と呼ばれる水産物一覧
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ウルメイワシ ●
ニシン目ニシン亜目ウルメイワシ科ウルメイワシ属
海水魚。 北海道南部〜九州南岸の沿岸、東シナ海。 希にピーター大帝湾、朝鮮半島南岸・済州島、台湾、中国東シナ海・南シナ海沿岸、オーストラリア南岸、黄海〜南アフリカ東岸、地中海東端。北海道から主に丸干しとして流通する。目に串やワラを刺したものが「目ざし」。鰓から通したものが「頬ざし」である。イワシの仲間の干物で最高峰なの・・・ウルメイワシのページへ -
オグロイワシ ●
ニシン目ニシン亜目ニシン科サッパ属
海水魚。沿岸域。 三重県〜九州南岸、小笠原諸島、琉球列島。台湾、中国南シナ海、セレベス島、西インド洋。熱帯に多いイワシの仲間で、国内に普通のマイワシ、ニシンに似ている。 国内ではあまりたくさんとれない。 小骨はあるが、味のいい魚で、利用法などは調べているところ。オグロイワシのページへ -
カタクチイワシ ●
ニシン目ニシン亜目カタクチイワシ科カタクチイワシ属
海水魚。沿岸域の表層付近で大きな群れを作り、ときに沖合でも見られる。 北海道〜九州南岸の太平洋・日本海・東シナ海沿岸、瀬戸内海。 カムチャツカ半島南部、沿海州、朝鮮半島南岸・東岸、渤海、黄海、済州島、東シナ海、台湾、香港。 希にフィリピン諸島とスラウェシ島。世界的にもAnchovy(アンチョビー)は重要な魚類だ。本種は・・・カタクチイワシのページへ -
カタボシイワシ ●
ニシン目ニシン亜目ニシン科サッパ属
海水魚。沿岸生。 [島根県益田]、相模湾、駿河湾、徳島県、九州南岸、琉球列島。 東シナ海中部、済州島、台湾、香港、フィリピン諸島、スラウェシ島、スマトラ島、ジャワ島、論木刀、マレー半島西岸、オーストラリア西岸。20世紀には九州、本州ではほとんど近海で揚がることのなかった魚である。九州南岸、相模湾では近年漁獲量の増えた魚・・・カタボシイワシのページへ -
カライワシ
カライワシ目--(カライワシ目)カライワシ科カライワシ属
海水、汽水、淡水。 青森県小舟渡・深浦、新潟県寺泊、富山湾、[島根県]、山口県日本海沿岸、福岡県津屋崎(幼魚)、長崎県野母崎(幼魚)、鹿児島県南さつま市笠沙、神奈川県三崎、静岡県清水、三重県鳥羽・尾鷲、土佐湾、兵庫県加古川・揖保川河口、琉球列島。 朝鮮半島南岸、済州島、ハワイ諸島近海、インド・西太平洋の暖海域。本州以南・・・カライワシのページへ -
カリフォルニアマイワシ ●
ニシン目ニシン亜目ニシン科マイワシ属
海水魚。アメリカ東海岸、カリフォルニア海流域。アラスカ、カリフォルニア、メキシコ、ペルーなど南北アメリカ大陸西沿岸。国内周辺のマイワシと同種である可能性が強い。 味わいも、姿もそっくり。 そっくりなので高騰している国産マイワシに化けることがある。 冷凍で出回っているが主に料理店やお弁当業界などで使われるもの。 一般には・・・カリフォルニアマイワシのページへ -
ギンイソイワシ
トウゴロウイワシ目トウゴロウイワシ亜目トウゴロウイワシ科ギンイソイワシ属
海水魚。沿岸の浅場。 若狭湾〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、相模湾〜九州南岸の太平洋沿岸、希に瀬戸内海、沖縄島、瀬底島、宮古島。朝鮮半島南岸、済州島、台湾。定置網などで揚がるが利用しないで捨てられるもの。防波堤釣り(波止釣り)でも釣れるが雑魚として捨てられている。ギンイソイワシのページへ -
サガミハダカ
ハダカイワシ目--(ハダカイワシ目)ハダカイワシ科ハダカイワシ属
相模湾以南の大陸棚周辺域。東南アジア海域、ハワイ。一般に食用ではない。サガミハダカのページへ -
サンゴイワシ
ハダカイワシ目--(ハダカイワシ目)ソトオリイワシ科ソトオリイワシ属
海水魚。水深180~740m。 北海道太平洋沖、駿河湾、熊野灘、土佐湾、鹿児島湾、沖縄舟状海盆。 朝鮮半島南東岸・北西岸、ニュージーランド、光孝海山、西インド洋、西太平洋ニューイングランド地方〜フロリダ海峡沖、メキシコ湾、カリブ海。深場の底引き網で少量とれるもの。 脂があり、美味。 とれる量が少ないのが残念。サンゴイワシのページへ -
シオサイイワシ ●
ニシン目ニシン亜目ニシン科サッパ属
海水魚。 沖縄本島、台湾南西沿岸。シオサイイワシのページへ -
シチゴイワシ
ハダカイワシ目--(ハダカイワシ目)ソトオリイワシ科ソトオリイワシ属
海水魚。駿河湾〜土佐湾。シチゴイワシのページへ -
スイトウハダカ
ハダカイワシ目--(ハダカイワシ目)ハダカイワシ科ハダカイワシ属
海水生。水深218〜1110m。 東北〜紀伊半島の太平洋沖、八重山諸島。南シナ海中央部、中央太平洋。スイトウハダカのページへ -
セキトリイワシ
ニギス目セキトリイワシ亜目セキトリイワシ科セキトリイワシ属
海水魚。水深310〜1440m。 相模湾、駿河湾、沖縄舟状海盆。インド・太平洋。底曳き網などに混ざるもの。 タナカセキトリイワシに酷似している。セキトリイワシのページへ -
ソコハダカ
ハダカイワシ目--(ハダカイワシ目)ハダカイワシ科ソコハダカ属
海水魚。水深375〜800m。 房総半島沖、小笠原諸島、相模湾、駿河湾、琉球列島。南シナ海北西部、台湾東部・南部、インド・太平洋。定置網、底曳き網などに混ざるもので利用しない。ソコハダカのページへ -
ソトイワシ
ソトイワシ目ソトイワシ亜目ソトイワシ科ソトイワシ属
海水・汽水。 [島根県] 相模湾以南の太平洋域。〜台湾、フィリピン、ハワイ諸島、太平洋の暖海域。一般に食用とはしない。ソトイワシのページへ -
ソトオリイワシ
ハダカイワシ目--(ハダカイワシ目)ソトオリイワシ科ソトオリイワシ属
海水魚。北海道南部以南から東シナ海。ハワイ、オーストラリア、大西洋。ソトオリイワシのページへ -
ダルマハダカ
ハダカイワシ目--(ハダカイワシ目)ハダカイワシ科ダルマハダカ属
海水魚。水深90〜700m。 東北地方太平洋沖、駿河湾。千島列島、台湾南部。太平洋、インド洋、大西洋の温帯・亜熱帯・熱帯。定置網などに混ざるもので利用しない。ダルマハダカのページへ -
トウゴロウイワシ
トウゴロウイワシ目トウゴロウイワシ亜目トウゴロウイワシ科トウゴロウイワシ属
海水魚。新潟県淡島〜屋久島の日本海、東シナ海、青森県以南の太平洋側。 沿岸の浅場。小魚で鱗が硬く処理が面倒なのであまり利用されていないが、味はいい。トウゴロウイワシのページへ -
ハダカイワシ
ハダカイワシ目--(ハダカイワシ目)ハダカイワシ科ハダカイワシ属
海水魚。水深100〜2005m。 青森県〜土佐湾の太平洋沖、島根県浜田、山口県日本海沖、沖縄舟状海盆。オーストラリア東岸沖、東太平洋、インド洋、ベンガル湾、大西洋。身体の腹側には頭から尾にかけて発光器が並び、この発光器の位置が種の検索の指標となる。 本種ハダカイワシは唯一ハダカイワシの仲間では食用とされるもの。ハダカイワシのページへ -
ホソオビヤクシマイワシ
トウゴロウイワシ目トウゴロウイワシ亜目トウゴロウイワシ科ヤクシマイワシ属
海水魚。沿岸浅い場所〜河川河口域。 大分県、宮崎県、与論島、沖縄島、八重山諸島。台湾、膨湖諸島、香港、タイランド湾、インドネシア、リザード島、スリランカ、アンダマン海、紅海をのぞく西インド洋。宮崎県南部以南に多い。 宮崎県日南市油津でヤクシマイワシとともにツボンボ。 とれたら干して、焼いて食べるのだという。 ●基本的な・・・ホソオビヤクシマイワシのページへ -
マイワシ ●
ニシン目ニシン亜目ニシン科マイワシ属
海水魚。沿岸。 北海道〜九州南岸の大平洋、日本海・東シナ海沿岸、瀬戸内海。 沿海州、サハリン、千島列島、朝鮮半島東岸・南岸、済州島、黄海中国沿岸、台湾。世界的に見ると北太平洋でもっとも普通にみられるSardine(サーディン)といえそうだ。古くから日本漁業の中心を担っていた魚。好不漁の波はあるものの漁獲量が多く、値段が・・・マイワシのページへ -
ヤクシマイワシ
トウゴロウイワシ目トウゴロウイワシ亜目トウゴロウイワシ科ヤクシマイワシ属
海水魚。沿岸浅い場所〜河川河口域。 大分県、宮崎県日南市油津、九州南部、屋久島、琉球列島、小笠原諸島。インド・太平洋域。宮崎県南部以南に多い。 宮崎県日南市油津でホソオビヤクシマイワシとともにツボンボ。 とれたら干して、焼いて食べるのだという。 ●基本的なデータはホソオビヤクシマイワシと共通。ヤクシマイワシのページへ