今季初ブリは根室産で、まずは刺身
8月のブリがこーんなに脂が乗っているなんて
根室のブリは、市場ではまだまだだな、と言っていたが、ボクには十二分を通り越して、もう限界の脂の乗りであった。
正直な話、暮れから2月くらいまでの氷見の青箱からボクの嗜好がずんずんと遠ざかっていく。
ブリは北海道がいちばんとさえ思っている。3月中旬以降の春ブリもいいな、とかとか。
考えてみると、若い頃もそんなに脂に強かったわけではない。
バブルの時、氷見ブリを専門に食べさせるという料理店で出て来た刺身が、3切れ。
会食したメンバーが全部食べきれないので、若いボクに食べろよ、とどんどんよこしてくる。
2切れで充分なんだけどなー、とも言えず、喜んだ振りをして食べたけど、以後の料理がまずくて困った。
ブリは脂の乗りを重視してはならぬ。ほどよさが肝心なり、が24歳のときのボクの学びだった。
背から食べたが、ブリの身の軟らかさと曇りガラス状に曇らせた脂とでで圧倒された。
そんなに厚みのある刺身にしたわけでもないのに、もう少し薄めでよかったかもと思う。
酸味がわずかなので、脂の口溶け感とねっとりした舌触りとで、とてもおいしさの量が多い。
濃口醤油をやめて刺身醤油に替えてみた。
正解だったかも。
脂で真っ白だけど、背ほど濃厚さを感じない
腹の薄い部分は切りつけた身が微かに透明感のあるものの、筋も筋と筋の間も全部脂まみれだ。
背よりもこちらの方が軽いのは食感が強いからだろう。
書き忘れたが、背も腹も無闇にうまいのである。
こんなにうまくていいのかしら、と思うくらいだ。
見た目は地味だけど、いちばん好きな尾の身
そして尾の身である。
ここに求めていた味を大発見したかも知れぬ。
驚くなかれ、ちゃんと脂が身に混在して少し白く雲っているではないか。
そこにやや強い筋の食感と、ブリ本来のほんのわずかな酸味をともなったうま味がくる。
最近発見したことだけど、細長い大型魚は尾がいちばん好きだ。