202404/13掲載

オオヒメって、もう普通の高級魚、じゃないかな?

見た目的に特徴のない魚だけど、食べたらすごいのだ


八王子綜合卸売センター、舵丸水産、クマゴロウが銭州通いを開始した。名人なのだろう、今年はシマアジ爆釣で、ゲストが少ない。
ヒレナガカンパチ、ナンヨウカイワリ、オオヒメが本命の脇を彩る存在だけど、考えたらなんて豪華絢爛であることか。
今回はこの準主役級、オオヒメ(体長35cm・920g)を密かに連れ帰ってきた。
少し難しい話になるが、魚類のほとんどはスズキ目(非常に上の階級)に所属するので、ニュースなどで「スズキの仲間」というくらい意味不明の言葉はない。上から階級をたどると界→門→綱→目→科→属→種、で、本当に魚介類が知りたかったら目から種くらいまでの階級は知って置くといい。
オオヒメはスズキ目フエダイ科ヒメダイ属である。
フエダイ科は全国的とは言えないが、関東、静岡や紀伊半島、四国南部、九州南部、琉球列島で流通のプロには当たり前の魚なのである。高級魚は流通のプロが主に作り出すものだが、その高級魚の主役もタイ科からフエダイ科に移行している。
東京には、小笠原からの定期便や伊豆諸島からも「おなが(ハマダイ)」、シマチビキ、同属のヒメダイとともにやってきているので、古くからフエダイ科に慣れ親しんでいる。
ヒメダイ、オオヒメは極めて似ていて、東京を始め関東周辺では、ともに「おごだい」である。種は違っているが、流通上は同種と見なされているのだ。
この2種を分けるのは魚類学者か魚類学に関心を持っている一部の人間だけである。種の見分け方は慣れないとできない。ただし、「大姫」の名の通りに、ヒメダイよりもオオヒメの方が大型になる。
伊豆諸島からくるヒメダイ属2種では、昔は圧倒的にヒメダイの方が多かった。ところが最近、温暖化のせいかオオヒメの比率が上がってきているようなのだ。
「おごだい」の味のよさは昔から東京では知られている。ここにオオヒメが混ざり、「おごだい」は量的にも増えている。安定的に入荷しているので、価格がやや高値ではあるが安定しているのである。ここにきて魚価全般が高騰しているために、最近、ヒメダイ・オオヒメの値段が安く感じるのだ。年間を通して味がよく、その上、歩留まりがいいので、お買いでもある。
この専門家にとっては平凡な魚は、いまのところ一般人には遠い存在でしかない。これを機会に、一般人にも平凡な魚になるといい。

まさか5日目でこんなに心地よい食感が楽しめるなんて


さて、クマゴロウが銭州で釣り上げてから5日目まで生食で楽しめた。
水洗いして三枚に下ろして腹骨・血合い骨を取る。
食べる部分だけ皮を引き、刺身にする。皮を一時に引くと劣化が早くなるからだ。
毎日刺身で食べても食べ飽きない。
クマゴロウの銭州での活け締めのやり方がいいのもあって、4、5日目がいちばんうま味豊かだった。

たたきと言われることが多いたたきなますは、目先を変える


もう1日、刺身かなと思ったものの、中途半端なので、たたきなます、ポキ、みそたたき(なめろう)で食べ尽くす。
魚を生で無駄なく使うためにはこれら生食アレンジの存在価値がとても高い。
「たたきなます」は単に「たたき」と呼ばれることが多い。ただカツオのあぶりである、「たたき」と紛らわしいので「なます」をあえてつけた。
刺身に香りのある野菜が加わると、目先が変わって楽しい。

みそたたきは白身で作っても、おいしい


こまったことに深夜に作った、みそたたきがうますぎた。
酒に合いすぎるため、そんなに体調がいいとは言えないのに、「国権 本醸造(福島県南会津町)を」飲み過ぎる。

このコラムに関係する種

オオヒメのサムネイル写真
オオヒメSnapper,Sea-perch海水魚。100mよりも深場。伊豆諸島、小笠原諸島、和歌山県周参見、高知県柏島、種子島、琉球列島、南大東。神奈川県三崎で・・・・
詳細ページへ

関連記事 ▽




呼び名検索

方言を含む全ての名(標準和名,方言,呼び名,外国名,学名)から水産物を検索します。

閉じる