202303/25掲載

3月25日 宇部産ミヤコボラ

沖合いにいるオキニシの仲間だ


山口県宇部市の青山鮮魚、青山時彦さんにいろんな貝をたくさんいただいた。長年探し続けていた貝もあって、感謝の致しようがない。
中にミヤコボラが含まれていた。「都法螺」は『六百介品』という江戸時代の著者不明の書にある。国内の多くの貝の名は、たぶん江戸時代にいた博物学的頭脳の人々がときに一般的な呼び名から採取し、ときに自ら命名したのだと思っている。もちろん見た目はしっかりおさえてだけど、「常陸帯貝」のように、いかに雅な名をつけるかを競ったのではないかと考えている。
きっと本種の名も『六百介品』の著者の創作だろうと思っていたら、山口県宇部市ではミヤコボラと呼ぶようなのだ。ひょっとしたら『六百介品』の著者は宇部生まれなのかも知れない。和歌山市で「泥さざえ」、兵庫県姫路で「泥貝」と呼ぶのは沖合いの泥場にいるからだが、これに「都」をつけたのは貝殻がきれいだからだ。
日本各地で揚がるが紀伊水道にめんした和歌山市から大阪湾、瀬戸内海の底曳き網での水揚げが多い。和歌山県西部、大阪市などではスーパーの売場にも並んでいる。

柔らかくて甘くおいしい


軟体(足)は煮ても柔らかく、ほんのり甘みがあり、貝らしいうまみもありで、実に味のいい貝である。
毎日食べても食べ飽きないところが魅力的だ。

このコラムに関係する種

ミヤコボラのサムネイル写真
ミヤコボラ海水生。水深20メートルから100メートルの細かい砂地。房総半島、[島根県益田]、山口県以南、瀬戸内海。熱帯西太平洋。・・・・
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