202407/31掲載

キスの天ぷらを作り、お昼は天丼

近年、にぎやかな天丼が好きになった


天丼はどこから食べるか、が重要である。
ご飯に天つゆを少しかけて、ご飯が見えないくらいに種を並べる。
種の上からもかけて、ここからが迷い箸。
個人的には野菜から、食べ始めて空いた部分のご飯を食べて。
主役であるキスの天ぷらに移る。
キスの天ぷらは、脳みその中で6等分しているので1枚の3分の1を食べる。
それにしてもキスの天ぷらくらい味わい深いものはない。
江戸時代から江戸前天ぷらの主役であり続けているのは、天ぷらにしてうまいからだ。
天種は上品な白身ではダメ、少しくせがあるからいいのである。
キスの味は皮にあり、そこに独特の風味があるからいい。
これは個人的な意見ではあるが、最近、江戸前ならではの魚種のみの天丼よりも、精進揚げも色とりどりにの上方風が好きだ。
揚げ油もごま油プラスをしなくなっている。
天丼を食べると、自分の嗜好が揺れに揺れているのがわかる。

一般客も魚屋の努力を利用すべし


八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産に千葉県富津からシロギスがきていた。内房でも砂地の広がる富津崎周辺はシロギスがよく揚がる。
今ではシロギスを漁り、漁業的に成り立つのは、東京湾では富津周辺と神奈川県の横須賀あたりだけだと思われる。
ちなみに最近、この小物類の売れ行きが悪い。
仕入れていった後の仕込みが面倒であるし、このような伝統的な魚が高い割りに地味だからだ。
まことに最近の水産の世界は騒がしい愚か者が多く、アカムツのようにわかりやすいものが主流になって、このような地味な魚が徐々に売れなくなってきている。
東京の魚河岸はこのような小物を扱う仲卸や、小物をていねいに仕込む料理店が土台で出来上がっていたのである。
江戸前のよさがどんどん減退してきている。
これを埋めているのは仲卸や魚屋の努力である。
最近、余裕がない生活をしているので、舵丸水産にある「半仕込みにした魚」はとても助かる。
料理店はともかく、一般の方達は積極的にこの半仕込みの魚を利用して欲しいものである。
舵丸水産の半仕込みのシロギスは持ち帰ったら、背鰭などをキッチンバサミでていねいに切り取る。
背鰭際の骨(鰭筋に付随した骨)なども切り取って置くといい。
軽く塩水で洗い、水分を切っておく。
このとき微かに塩気が入る。
小麦粉をまぶし、衣をつけて高温で揚げる。
野菜はあるものでいいので適当に。
ご飯に天つゆ(我が家は醤油1.5・みりん1を一煮立ちさせたもので正式な天つゆではない)をかけ、天ぷらをのせて、ふたたび天つゆをかける。

このコラムに関係する種

シロギスのサムネイル写真
シロギスJapanese sillago海水魚。沿岸の砂地。北海道積丹半島〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、襟裳岬〜九州南岸の大平洋沿岸、鹿児島県種子島、瀬戸・・・・
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