202407/31掲載

鳥羽市安楽島貝類図鑑 アズマニシキ


三重県くらい海が多様なところはないと思う。北は木曽三川の河口域、伊勢湾があり、渥美半島と鳥羽市を結ぶ線から北は伊勢湾、南は太平洋になる。
鳥羽市は内湾でもあり外洋でもあり、しかも人が住んでいる島が多くある。
民俗学的にも面白く、生物好きにとってもパラダイスといってもいいだろう。
さて、鳥羽市安楽島の出間リカさんに鳥羽市の貝いろいろを送って頂いた。ついでにとは言っては失礼だが、厳密に同定してみた。
今回は鳥羽市安楽島で「あっぱがい」と呼ばれているニシキガイである。

貝殻をあっぱあっぱと閉じたり開いたり


「あっぱ」というのは左右にある貝殻をあっぱ、あっぱと開けたり閉じたりするためだ。
標準和名のアズマニシキは江戸時代の旗本、武蔵石寿の『目八譜』からだが、この江戸時代に存在した赭鞭会という連(田中優子の考え方で、赭鞭会は博物学的な集まりである)を通して生み出された名はどことなく文学的で、座敷で貝殻を前に考えたものだ。
鳥羽市安楽島でのように生きているものを見た印象からの名の方が面白い。
浅い磯などに足糸というヒモ状の組織でくっついて暮らしている。

ホタテガイのように貝柱を刺身にする


海辺で暮らす人にはおいしい二枚貝として知られている。東京湾などでは漁師さんたちが漁の時におやつ代わりに食べたという。貝柱にはそれほど豊かな甘味がある。
今回久しぶりに刺身を食べてみたが、やはりおいしい。
出間リカさんに感謝。(FB 安楽島新鮮組)


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