202407/09掲載

今季初、エゾイシカゲガイ

口いっぱいに広がる微かな渋味をともなった甘味が持ち味


やはりイシガキガイ(エゾイシカゲガイ)を食べないと、夏が到来した気にならない。
待ちに待ったといった味覚である。
今回は素直に刺身にして食べた。江戸前寿司の仕込みである「湯引き」もいいけど、去年から完全な「生」に目覚めてしまった気がする。
造ってすぐに食べないとならないのは欠点だけど、「生」の微かな渋味を伴った強い甘味、貝らしい風味の豊かさと他の貝に代えがたい美味だと思っている。

二枚貝というのは外見で中身は判断できない


本種は茨城県以北にいる二枚貝で浅場の底曳き網(ホッキガイ漁が主)などで混獲されていた。
ただし非常に量が少なく、1980年代などボクにとっては幻の貝だった。
もちろん今でも高級すし店などで限定的に味わえるものでしかないが、確実に人の口に入るようになったのは養殖が確立したためである。
さて、八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産にやってきていたのは唯一の養殖地、岩手県陸前高田、広田湾のものだ。
夏限定の味で7月の声を聞くと、そろそろ来るかな、なんて気を揉む。
値段は年々上昇している。今年もまた一段上がり、ひょっとしたら二枚貝でいちばん高いかも知れないが、それでも引く手数多なのだから、すごいと思う。
食べる直前に下ろす。
剥き身にして外套膜などを取る。
足を開いてつけ根にある内臓をかき出し、軽く塩水で洗う。
あとは水をきるだけである。
盛り付け直前にまな板にたたきつけると、動く動く。
このじんわり動いているのを、あとは食べるだけ、なのだ。

このコラムに関係する種

エゾイシカゲガイのサムネイル写真
エゾイシカゲガイBering Sea cockle海水生。水深10m〜100mの砂泥地。鹿島灘からオホーツク海。・・・・
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