202308/27掲載

徳島県海陽町宍喰のヒライの焼き切り

2㎏を超えると高級魚そのもの


八王子綜合卸売協同組合『マル幸』に島根県産スマがきていた。2kg上もあって脂がありそうだったので買い求めた。意外にスマの旬はわかりにくい。例えばこの時季は生殖巣が膨らんだ個体が多く、初夏ほどには脂が乗っていないことが多い。
2000年以前はとてもローカルな食用魚だった。西日本の太平洋側に多く、あまり関東にはやって来なかった。それが今では北海道でも揚がり始めている。東京都豊洲市場では大きくて鮮度のいいものが普通に並んでいる。こうなるとますます水揚げ地が北に広がり、旬がわからなくなりそうである。
標準和名、スマは東京での呼び名だとしているが、明治・大正と活躍した動物学者岸上鎌吉が提唱した「やいと」の方が地方名などを見る限り、混乱は少なかったように思える。

卵巣は成熟しているものの脂はあった


産卵期、8月のスマを買うのは勇気がいる。
下ろしてみるとやはり抱卵個体ではあったが思った以上に脂が乗っている。

材料はスマと玉ねぎ、柚子の酢だけ


刺身にすべきだ、とは思ったが、徳島県海部郡海陽町宍喰、長尾桂一郎さんに教わったばかりの「焼き切り」を作る。
ここではあくまで宍喰での呼び名、やり方で作るが、地域での料理名があればぜひ教えて頂きたい。
さて、今回は三枚に下ろして腹の身を使って作った。
表面をバーナーであぶる。
刺身状に切り、手に柚子酢と塩をつけてたたく。
後は玉ねぎのせん切りを乗せるだけだ。
辛い青唐辛子やにんにくなどを加えて食べてもいいだろう。
2㎏1尾分の腹身でたっぷりあるのに、すいすいと口に入る。濃厚なうま味と脂が舌の上でとろける感が心地いい。
昼間なのでノンアルコールビールにしたが、まんぞく、まんぞく、なのだ。

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スマKawa kawa, Eastern little tuna, Little tunny, Wavyback skipjack, Mackerel-nuna 台湾/花煙(hua yen)、三點仔、巴鰹海水魚。[宮城県気仙沼]、千葉県外房、相模湾〜屋久島の太平洋沿岸、[北海道日本海側せたな町]、兵庫県浜坂日本海側〜九州・・・・
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