アカニシ
代表的な呼び名ニシ
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珍魚度・珍しさ | ★★★ がんばって探せば手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★★★★ 知っていたら達人級 |
食べ物としての重要度 | ★★ 地域的、嗜好品的なもの |
味の評価度 | ★★★ 美味 |
分類 | 動物門軟体動物門腹足綱前鰓亜綱新生腹足上目新腹足目アッキガイ上科アッキガイ科チリメンボラ亜科チリメンボラ属
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外国名 | 英名/Top shell, Rock-shell, Rapa whelk
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学名 | Rapana venosa (Valenciennes,1846)
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漢字・学名由来 | 漢字/紅螺 Standard Japanese name / Akanisi Valenciennes アシル・バランシエンヌ(Achille Valencienne 1794-1865)はフランスの動物学者。ジョルジュ・キュビエとともに『魚類の自然誌』を刊行。国内で水揚げされる多くの魚を記載。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水生。砂泥地の浅海に棲息する。
北海道南部から九州。
台湾、朝鮮半島沿岸、中国沿岸の。
黒海、紅海、アメリカなどに移入。
生態
肉食性でアサリなどを食べる。
基本情報
国内の内湾の干潟などに普通に見られる大型の巻き貝。江戸時代以前原始時代から食用貝として重要なもので、東京湾周辺でも盛んに食べられていた。ただ、今でも産地での評価はそれなりにあるが、東京を含む消費地であまり馴染みのない貝である。
肉食の貝であり、今、関東の漁業では漁の対象としてよりもカキやアサリの天敵として名を馳せている。潮干狩りなどでもときにとれることがあり、大きいので子供などには人気がある。また、近年では移入地である黒海(トルコ、ブルガリア)などから非常に安く輸入され、缶詰、ボイル、串、また煮貝など多様な加工品が見られる。これらはスーパーなどでも見かける機会も多く、アカニシの流通の主流となっている。
国産の活け(殻つき)もあるがこちらはあまり消費地などでは見かけない。
珍魚度 国内の干潟や浅い海域に普通にいる巻き貝だが、近年めったに流通することはない。干潟や浅い内湾などでの漁が行われている地域で探すしかない。
水産基本情報
市場での評価 入荷量はあまり多くない。値段は外見の良さからすると安い。
漁法 底曳き網
産地 山口県、愛知県
選び方・食べ方・その他
選び方
原則的に生きているもの。貝から粘液などが出ていないもの。触って反応のあるもの。
味わい
旬は春。
貝殻は非常に硬く割りにくい。軟体は大きい。
足は煮ても硬くならず、生でも食べられる。消化器周辺は食べられないがわたは美味。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
身に貝らしい風味と甘味がある。穏やかな味わいで食べ飽きない味だと思う。わたも美味。
好んで食べる地域・名物料理
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加工品・名産品
釣り情報
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歴史・ことわざなど
長刀酸漿 卵囊(らんのう)をナギナタホウズキといい、玩具になる。口に入れて鳴らして遊ぶ。
福岡県大牟田市 「あかにし」のこの地方での呼び名は今も昔も「けっぷ」もしくは「けっぽ」です。子供の握りこぶしほどの大きさまでは沖合いの石などにつきますが大型になると砂にもぐり干潮時に見つけるには少々の要領が必要です。五月ごろに卵を産み、親はそばで卵を守ります、貝ののどこに目があるのか不思議なことです。卵は黄色で「うみほうずき」といい、昔は女の子が口にくわえ舌と上あごにはさんでぴいぴいいわせていたと思うのですがうろ覚えです。あかにしは「さざえ」に似ていますが「つの」がなく食性はさざえが海藻なのにあかにしは肉食で「アサリ」などを食べます。なまが最高でボイルしますと味は格段に下がります、なまの貝類は刺身にする前にまな板にたたきつけます、死んでいるはずの貝の身が縮み上がるように動くのが不思議でぎゅっと身がしまります、お試しあれ。[福岡県大牟田市の森田さんから]
赤螺屋吝兵衛 けちな人のこと。江戸時代からの古典落語「片棒」の登場人物にケチの代表選手とも言えそうな赤螺屋吝兵衛がある。この赤螺屋吝兵衛から来ている。
赤西蠣太 志賀直哉の小説。仙台騒動に題材をとった小説で、主人公その他が海産物の名であるなど、コメディ。
サザエの代用品 千葉県船橋などの産地では戦後から十年ほどは鎌倉に盛んに出荷していたそうだ。これを鎌倉、江ノ島でサザエの貝殻に細かく切って入れ、「サザエの壺焼き」として売っていたという。これは船橋の貝を扱う業者「源七」社長吉種さんの話で、実際に江ノ島で壺焼きを食べたらアカニシであったという。(もちろん今の話ではない)
アカニシの串 また同じく吉種さんによると昔、船橋競馬場、船橋オートで「アカニシは適当に切って串を刺して、焼き、焼き鳥のタレをつけて売っていた」という。今でもこれが売られているのか、また他の競馬場などで売られていたのか? などは知りたいところである。
蛸壺(イイダコ壺) 瀬戸内海ではイイダコを取るときの蛸壺にアカニシを使用してきた。今でも使用している漁師さんがいるかも知れない。[兵庫県明石市で聞取]
甲子夜話/明石の大蔵谷のイイダコ壺 明石の大蔵谷の宿に泊まったところ、床柱にこのイイダコ壺がかけてあり、宿の人と問答した。〈このほど用い候ものは、この壺には候はず、これ巳に百年ばかりさきのものにて、今は辛螺(あかにし)のからもて易候(かえそうろう)という(寛政十二年十一月六日の項)〉。このときから100年前というと元禄期からアカニシでイイダコをとる方法はあったようとある。『甲子夜話』は文政4年/1821年〜天保12年/1841年まで、肥前平戸藩藩主、松浦清(静山) が書き綴った随筆集。『ものと人間との文化史 鮹』(刀禰勇太郎 法政大学出版局 1994)
地方名・市場名
参考出間リカさん 場所三重県鳥羽市安楽島
参考出間リカさん、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所三重県鳥羽市安楽島、岡山県小田郡神島外村外浦(現笠岡市)
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所京都府網野
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所佐賀県小城町
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所北海道道南渡島上磯
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所千葉県
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所千葉県君津市人見
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所千葉県市原市今津朝山
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所千葉県市原市八幡宿浜本町
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所千葉県木更津市畑沢
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所千葉県浦安市猫実
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所千葉県袖ケ浦市蔵波・市原市今津朝山
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所千葉県銚子市・富津市萩生、新潟県佐渡相川、鳥取県境港、香川県、長崎県国見町
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所大阪府泉佐野市
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所山口県旧大島郡(現周防大島町)
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所岡山県牛窓
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所愛知県南知多
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所愛知県南知多、山口県豊浦町
参考聞取 場所有明海周辺
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所神奈川県横浜市神奈川区子安
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所秋田県男鹿半島、宮城県塩竃市
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所秋田県男鹿市船越
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所長崎県対馬市上県町
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所長崎県島原半島北部
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所青森県八戸、静岡県白須賀・浜名湖、長崎県対馬市上県町
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所香川県三豊郡詫間町名部戸
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所香川県三豊郡詫間町須田
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所香川県多度津町見立
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所高知県宿毛市小筑紫町
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所鹿児島県佐多町
備考単にニシ(螺)と呼ぶ地域が多い。 参考聞取、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所千葉県内房船橋、大阪府泉佐野、広島県倉橋島ほか日本各地
場所千葉県富津市富津、新潟県新潟市、福井県、岡山県備前市日生
参考聞取 場所福岡県柳川
参考聞取 場所福岡県柳川市中島、大牟田市
参考聞取 場所熊本県上天草市大矢町
参考聞取 場所熊本県熊本市
備考輸入されたものは「トップシェル」。 参考商品名 場所一般的に