シイラの西京漬けはブリの西京漬けよりもうまし
シイラのみそ漬けは上等の上等
小アジを加えたシイラ
2005年頃、切身屋で無駄話をしていたとき、まな板に水洗いしたシイラが乗っていた。みそ漬け用としては大振りの60gの切身にするためである。切身屋は骨のない背の部分だけを正確に60gの切身にしていく。尾に近い部分は、「お得感が出るように切るのがプロなのよ」と言っていた。
「昔(バブル期)はブリやサワラに化けていたけどね。今じゃシイラで出ています♪」
ちょっとお高い弁当用である。ちなみにこの時すでにチェーン店や町の平凡な弁当総菜の店では国産魚は使っていなかった。高いのもあるし、質にばらつきがあるせいだ。国産魚といえば、養殖のブリは業務用の弁当に使えても天然のブリは使えないし、シイラを使うこと自体が珍しかった。
「国民の質が落ちているんだろうね」と言ったのは築地場内の老人である。魚をまるでナショナルブランドのチョコレートのごとく思っているのが、今どきのヒトなのである。花火を見て夏を感じるのに、魚を食べて季節を感じない。
さて、バブルの時、よくブリやサワラにに化けたことがあるシイラだけど、切り身屋も築地の老人も「みそ漬けにするとブリ以上の味だし、値段も安いんだから罪はねー」という。
ボクなどもそうだと思っているがいかがだろう? 今や料理店でシイラの焼き物が出てくるとうれしくて泣けてくる。
夏から冬にかけてのシイラは決しブリやサワラに味で劣るわけがない。
さて、7月の末、神奈川県、小田原魚市場、原辰定置のシイラ中型(5㎏)を一本連れ帰ってきた。
少々焦げたところが家庭の味
シイラ西京焼き
これで弁当のおかずの定番といえそうな、西京漬け(『西京味噌』の白みそなので)を作る。
水洗いして三枚に下ろす。切り身にしやすいところだけ、切り身にする。当たり前だけど残りは別の料理にする。
脂がのっていたので振り塩をする。少し寝かせて表面に出て来た水分をていねいに拭き取る。
西京味噌(『西京味噌』の白みそだけど、どこのメーカーのものでもいい)とみりんを合わせた地に漬け込む。
地の塩分濃度が低いので2日間漬け込む。この地のまま1週間くらい漬けて置いてもおいしく食べられる。
後は焦がさないように焼けばいい。
我が家などは電気だったり、ガスだけど、みそ漬けは貧乏人に焼かせろ、というように頻繁に焼き加減をみる。
脂ののったシイラなので焼いても硬く締まらず、みその味にシイラの味が負けていない。相乗効果的なうまさを、たった2日間で生み出している。
ちなみに魚のみそ漬けは酒ではなくご飯のお供だと思っている。