202505/12掲載

クロダイのカルパッチョは一枚の絵なのだ

ボクの描く皿の上の絵はいつもいつもシンプルである


初めて魚のカルパッチョを食べたのは、昔々その昔である。
サッカー人気が話題になっていたときなので、ほんまに昔だろう。
そのときのものは魚の生の切り身を皿に並べて、上に彩りよく香りのある野菜やハーブを並べてお絵かきをするといったもの。
ものすごくにんにくがきいていて、テーブルの上で追いオリーブオイルをかけてくれた。
以来、そのときに何軒か回った店のスタイルに従っている。

ボクの作るカルパッチョは、クロダイの身を皿に馴染ませた状態など、絵描きがカンバスを張るようなものかも。
その上に神奈川県秦野市で買った種なし赤ピーマンと、フルーツトマト、タイムを散らしてみた。
あるだけの材料なので、とてもシンプルなものとなる。

締めて3日目のクロダイの、端切れを集めて薄く切ったのでエレガントではない。
今回は夏泳いだ後のような、疲れの波を受けていたのでどっさりとにんにくを使った。
仕上げに追いオリーブオイルではなくライムを搾る。
ちょっとだけ味は野性的である。
甘い素材は今回はなし、あるときはキウイ、季節によってはラズベリーなどを使う。

ただ塩とオリーブオイルとにんにくと、白コショウだけの味つけで、うま味たっぷりの3日目の、クロダイの味をそのまま堪能出来てあまりある。
ちょっと濃い味だなというところを、ライムの酸味とタイムの香りが救ってくれる。
おざなりに作ってもカルパッチョはうまいのだ、ということがわかる。
ついつい、皿に並べてチャンチキおけさ♪ なんて唄っている自分がいる。
午後2時なのに、山梨で買った一升瓶の赤ワインをロックで一杯。
昼酒できないのに、浮かれ飲みして1時間だけダウンする。

5月初旬のクロダイはまだまだいける


小田原魚市場で手に入れたクロダイは体長37cm・1.5kgの雌で卵巣は非常に大きく膨らんでいたが、ばらけ感はなかった。これでいろいろ作った。

皿ににんにくとオリーブオイルを敷くことから始める


体幹部分のあっちこっちの身が残ったので、カルパッチョを作る。
できるだけ薄く切りつける。
三角形の部分や腹の身の一部なので、きれいではなくても薄く薄く切る。
皿にオリーブオイル・にんにくを乗せて伸ばして塩コショウを振る。
ここにクロダイの身を並べて行く。

とんとん叩いて絵を描く用意をする


並べ終わったら、上からスプーンなどでとんとんと叩いて馴染ませる。
30分くらい冷蔵庫で寝かせる。(必ずしもやらなくてもいい)
寝かせた状態で2日間保つので、すぐに食べなくて、この状態で翌日まで冷蔵庫で寝かせて置いてもいい。
クロダイの身がオリーブオイルに馴染んで上に染み出してきたら、ふたたび軽く塩コショウ。
好みの香り野ある野菜などを散らす。
ここでは種なし赤ピーマン、タイム、フルーツトマト。
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クロダイBlackhead seabream海水魚。内湾、汽水域や沿岸の岩礁。北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、北海道〜九州南岸の太平洋沿岸、瀬戸内海。朝・・・・
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